研究課題/領域番号 |
21K20474
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
的場 萌子 国立研究開発法人建築研究所, 国際地震工学センター, 研究員 (30913579)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 液状化地盤 / 遠心載荷実験 / 液状化 |
研究開始時の研究の概要 |
既往の遠心載荷実験では,間隙水圧についての時間に関する相似則を合わせるため,水の代わりに粘性を調整したメチルセルロース溶液(メトローズ溶液)を用いているが,代替間隙水の粘性の温度依存性が及ぼす地盤の地震時挙動への影響はほとんど考慮されていない。本研究では,複数回地震動を受ける構造物-液状化地盤の動的相互作用を精緻に検討できる実験手法の開発のため,遠心力載荷実験装置を利用した実験を行い,飽和地盤の地震時挙動に及ぼすメチルセルロース溶液の粘性の温度依存性による影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
上部構造物・鋼管杭基礎-飽和地盤系の縮小模型試験体を用いた既往の遠心載荷実験では,一回の大地震により地盤が液状化した際に,鋼管杭が崩壊して上部構造物が倒壊する現象が示されており,杭の終局メカニズムが明らかにされている。一方,複数回大地震動により杭基礎が損傷する場合は,地震動により液状化時の地盤性状が刻一刻と変化するため,構造物と地盤の動的相互作用の変化を考慮する必要がある。既往の杭基礎の遠心載荷実験では,間隙水圧についての時間に関する相似則を合わせるため,水の代わりに粘性を調整したメチルセルロース溶液を用いているが,代替間隙水の粘性の温度依存性が及ぼす地盤の地震時挙動への影響はほとんど考慮されていない。 これを踏まえ本研究では,複数回地震動を受ける構造物-液状化地盤の動的相互作用を精緻に検討できる実験手法の開発のため,遠心力載荷実験装置を利用した実験を行い,飽和地盤の地震時挙動に及ぼすメチルセルロース溶液の粘性の温度依存性による影響を明らかにする。 本年度は,上部構造物・コンクリート充填鋼管杭-液状化地盤系の縮小模型を用いて実施した遠心載荷実験結果に基づき,複数回の地震動を受ける飽和地盤-杭基礎系の動的挙動を分析した。具体的には,昨年度の知見を踏まえ地盤が液状化する際の指標である過剰間隙水圧の応答性状(上昇特性,消散時間)や地盤内加速度応答と,試験体パラメータとの関係を整理した。また液状化地盤においてコンクリート充填鋼管杭が終局状態となる場合,杭頭部で塑性ヒンジが形成された後,最終的に杭断面が破断することを示した。さらに,液状化地盤におけるコンクリート充填鋼管杭の終局耐力評価法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,遠心力載荷実験装置を用いて実施した縮小模型実験結果を踏まえ,地盤が液状化する際の指標である過剰間隙水圧の応答性状(上昇特性,消散時間)や地盤内加速度応答と,試験体パラメータとの関係を整理した。実施した試験体パラメータの範囲内では,複数回地震動を受けた場合,地盤の過剰間隙水圧比の上昇速度が初回加振時に比べて大きくなり,同一試験体であってもやや早期に液状化状態となる傾向があることが示された。また液状化地盤においてコンクリート充填鋼管杭が終局状態となる場合,杭頭部で塑性ヒンジが形成された後,最終的に杭断面が破断することを示した。さらに,液状化地盤におけるコンクリート充填鋼管杭の終局耐力評価法を提案した。
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今後の研究の推進方策 |
建築研究所の二方向加力式遠心載荷実験装置の故障により,同装置は当面の間使用不可となっているため,本課題の研究内容を以下のように変更する。昨年度までの検討より,屋内実験棟において模型地盤の飽和作業を実施した際に,同一手法により地盤を作成した場合でも飽和失敗となった試験体が見られることから,今年度も引き続きその要因について精査する。具体的には,間隙水の動粘度を同一条件として,間隙水の注水速度や水温,メチルセルロース量(濃度)をパラメータとし,各項目と飽和度との関係を明らかにする。
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