研究課題/領域番号 |
21K20475
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 幸司 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00911158)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 鉛フリーペロブスカイト / ペロブスカイト太陽電池 / 水中合成 / 錯体構造 / アスコルビン酸 / 還元剤 / キレート剤 / 錯体制御 |
研究開始時の研究の概要 |
鉛フリーペロブスカイトは、低温塗布形成が可能で高効率な太陽電池の発電層として注目されているが、水分や大気に対して不安定なため、合成には特殊環境や高純度有機溶媒が不可欠である。本研究では、この現状を打破するべく、究極のグリーンプロセスである「水中での鉛フリーペロブスカイト合成に挑戦する。具体的なアプローチとして、溶液条件の最適化によって水溶液中の前駆錯体構造を制御するとともに、それを安定に存在させ得る還元反応場を低環境負荷な手法で構築する。
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研究成果の概要 |
ヨウ化スズ系ペロブスカイト光電変換材料の大気中・水中合成では、ヨウ化スズ原料の可溶化剤であるヨウ化水素酸の劣化と、原料水溶液中や材料中でのスズの酸化が課題であった。そこで本研究では、ヨウ化水素酸よりも安定なアルカリ金属ヨウ化物を可溶化剤に用い、高濃度(0.5 mol/L)でありながら大気中でも安定な原料水溶液を調製した。さらに、還元剤としてアスコルビン酸を添加した原料水溶液中ではスズの酸化が抑制できる上、この水溶液から得られた材料は、既報の材料と比較しても大気暴露後の劣化が抑えられた。以上から、原料水溶液の最適設計と安定化により、大気中・水中でも高品質ペロブスカイト材料の合成が達成された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、低環境負荷で安全な合成系を用いて、既存の材料をも凌ぐ高品質・高耐久なヨウ化スズ系ペロブスカイト材料を合成する新規プロセスを確立した。本合成法をベースとすれば、原料水溶液の塗布によるハライドペロブスカイト光電変換層の大気中成膜が実現でき、酸素・水分に弱いとされてきたハライドペロブスカイト材料の化学の転換点となり得るとともに、ハライドペロブスカイト材料と酸素・水分との相互作用に関する基礎研究の進展にも寄与し得る。さらに、本合成法は、禁水設備などの特殊な製造設備を必要としないペロブスカイト太陽電池製造法に展開可能であるため、次世代型太陽電池の実用化・社会実装を加速するものと期待される。
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