研究課題/領域番号 |
21K20480
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
コ ソンジェ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90910282)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 電気化学 / 水系二次電池 / リチウムイオン電池 / 二次電池 / 電解液 / 高電圧リチウムイオン電池 / 水系電解液 / 高濃度電解液 / 還元安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
従来のリチウムイオン電池の有機系電解液を、水系電解液に置き変えることで、発火リスクを低下させると共に、特殊な電池製造環境を撤廃し、低価格化と超生産性をもたらすことができる。しかし、水の熱力学的電位窓が1.2Vと狭いことから、有機系リチウムイオン電池と比べ低電圧であることが問題となっていた。申請者はこの問題を解決するため、極高塩濃度を基に、個々の水分子を孤立させたリチウムイオン伝導性液体「常温溶融水和物」を開発し、高度な安全性担保と高エネルギー密度化の両立が可能なシステムの構築に挑んできた。本研究においては、水分子の還元分解を速度論的に制御することによって、更なる水系電解液の電位窓拡張を目指す。
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研究成果の概要 |
水の狭い熱力学的電位窓(1.2V)を克服し、高度な安全性と高エネルギー密度化の両立が可能な蓄電システムを実現するため、水の活量を極限まで減らした新しいカテゴリのイオン伝導性液体「常温溶融水和物」を開発した。具体的には、対称型Li塩と、様々な非対称型Li塩を用い、その共晶組成を探索することで、複数の新規リチウム常温溶融一水和物の合成に成功した。また、Na系に対してもその探索範囲を広げ、二つの非対称型Na塩をベースにした新規ナトリウム常温溶融二水和物の合成に成功した。これら常温溶融水和物は、水分子間の水素結合が切れている独特な溶液構造を有していることから、3 Vの広い電位窓を提供した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電解液は一定電位で還元され、電極表面に不動態被膜を形成する。この被膜は、イオンの通路でありながら、電極と電解液の直接接触を遮断し、更なる電解液の還元分解を抑制する。問題は、還元分解生成物が、水に溶けやすい、あるいは、水と反応しやすいことにより被膜の機能性 (遮断性)が低下する点であった。本研究において開発された様々な新規常温溶融水和物は、水の活量を極限まで低下させたことから、還元耐性の大幅な向上を実現した。これによって、今まで活用できなかった低電位電極を用いた高電圧水系電池の開発が期待され、数年間低迷していた水系電池の高電位化の重要なターニングポイントになると強く確信する。
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