研究課題/領域番号 |
21K20488
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
刈屋 翔太 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (10912727)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | チタン / 酸素 / 固溶強化 / 積層造形 / 塑性変形機構 / その場観察 / チタニウム / 力学特性等方化 |
研究開始時の研究の概要 |
選択的レーザ溶融法により作製した高濃度酸素(α-Ti相安定化元素)含有チタン合金積層造形体において,固溶強化による顕著な強度向上と同時に高延性を有する新奇な力学挙動の解明を目的に,急速凝固・冷却過程で形成される特異な組織形態(acicular α/α’マルテンサイト相およびbi-modal組織)と結晶配向性および酸素固溶分布に着目し,これら組織構造因子と変形機構の関係を解き明かす.その結果に基づき,延性低下が著しいチタン積層造形体において,高強度と高延性の両立を可能とする新規な材料・プロセス設計原理の構築を目指す.
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研究成果の概要 |
高濃度の酸素が固溶したチタン積層造形材を対象に,従来脆化を招くとされてきた酸素が固溶してもUTS 1025 MPa,破断伸び15.3%と優れた強度と延性を両立するメカニズムの解明を達成した.従来のTi-O合金はα-Ti等軸粒からなるのに対して,積層造形合金はα/α’-Ti針状粒からなる.引張変形過程についてSEM-EBSDによるその場観察を実施した結果,Ti-O合金では不活性とされている変形双晶の形成と従来報告されているすべり系とは異なる格子回転を確認した.以上により,従来不活性な塑性変形機構(底面すべり,双晶変形)がα’-Tiの形成に伴って活性化することで高延性を発現することを実証した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は従来脆性とされてきたTi-O合金の信頼性向上のために不可欠であり,その塑性変形能を検討するにあたって,積層造形合金では,その結晶組織や酸素の分布のみならず,結晶構造の評価が必要であることを明らかにした.また,積層造形Ti-O合金にて確認された塑性変形機構は,Ti-O系のみならず,積層造形チタン合金として最も使用量の多いTi-64合金を含むnear αチタン合金にも共通であると予測される.したがって,本知見は積層造形チタン合金の理解にも有用であると考えられ,これを発展させて結晶構造と塑性変形機構の観点に基づいた積層造形Ti-64合金の熱処理の最適化とその原理解明を計画している.
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