研究課題/領域番号 |
21K20513
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0403:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
本田 雄士 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (90907742)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 細胞内抗体 / エンドソーム脱出 / 高分子複合体 / ドラッグデリバリーシステム / 薬物送達システム / 高分子 / がん治療 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、細胞質内に局在する抗原やタンパク質と結合する細胞内抗体医薬は細胞死や免疫誘導できることから、新たな治療分子として注目されている。しかしながら、これら抗体の細胞質への移行量は極めて低く、十分な活性が発揮されず、医薬品としての利用が困難である。そこで、抗体の活性を飛躍的に向上させ革新的な抗体医薬品を創出することを目指し、ナノテクノロジー技術を基盤とした新規薬物送達システムの構築を検討する。具体的には、薬物送達システム構成材料の合成、細胞実験、動物実験での評価を実施し、コンセント確立を図る。
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研究実績の概要 |
近年、細胞質内に局在する抗原やタンパク質と結合する細胞内抗体医薬は細胞死や免疫誘導できることから、新たな治療分子として注目されている。しかしながら、これら抗体の細胞質への移行量は極めて低く、十分な活性が発揮されず、医薬品としての利用が困難である。これらを解決する方法として、カチオン性のペプチドやポリマーを用いたエンドソームからの脱出方法が報告されていた。しかしながら、カチオン分子由来の細胞毒性が誘起されてしまうことおよび、全身投与が困難という問題があった。そこで、全身投与が可能で抗体の活性を飛躍的に向上させ革新的な抗体医薬品を創出することを目指し、ナノテクノロジー技術を基盤とした新規薬物送達システムの構築を検討する。具体的には、細胞内抗体と相互作用し複合体を形成する上、エンドソーム脱出能を示す材料の構築を目指す。これまでに、新規合成した高分子Bと分子Cをモデル抗体と組み合わせることでより安定な抗体搭載複合体を形成し、細胞実験において抗体のエンドソーム脱出能を向上させることを既に確認済みである。今後は、抗体搭載複合体の詳細な物性評価および、モデル抗体ではなく、生理活性を持つ細胞内抗体を用いて、活性およびエンドソーム脱出能のさらなる解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度まで当初の計画で利用を予定していた高分子Aの合成を完了させ、高分子Aと抗体を基盤とした複合体を細胞に投与したところ細胞のエンドソームから脱出をしている挙動は見られていた。しかしながら、その後の詳細な物性解析の結果、抗体との複合体形成能が非常に低いことが明らかになった。その後、高分子Aの分子構造を分子量や側鎖構造などを調整して最適化を測ったが、抗体と充分な複合体安定性を示すことはできなかった。そこで、分子デザインの見直しを実施したところ、抗体と充分な複合体系性能を示す高分子Bを調製することに成功した。現在、新規合成した高分子Bを用いて形成させた抗体複合体の機能性評価を細胞・動物実験によって実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
新規調製した抗体搭載複合体の構造物性およびエンドソーム脱出機能を更に詳細に検討し、細胞や動物に対しての抗腫瘍効果へ展開する。特に、複合体の構造については解明の余地があるため、物性評価を実施する予定である。また現状、モデル抗体を用いて評価を実施しているため、生理活性を持っている細胞内抗体を用いて抗腫瘍効果を評価する。さらに本抗体搭載複合体のエンドソーム脱出効果もより明確に証明するた め、様々な観察手法およびコントロールの材料を用いて優位性を証明する。
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