研究課題/領域番号 |
21K20539
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 (2022) 広島大学 (2021) |
研究代表者 |
千歳 洋平 九州大学, 工学研究院, 助教 (60911534)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 2光子吸収 / ケージド化合物 / 光解離性保護基 / 反応中間体 / D-π-D / 安息香酸 / 生物活性物質 / 励起状態 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,理論計算によって高い近赤外2光子吸収能を有する光解離性保護基を設計し,合成を行う.有機溶媒中での光脱保護効率を確認したのち,保護基部位に十分な水溶性を有する置換基を導入することで細胞実験への応用を試みる.グルタミン酸や抗がん剤などの生物活性物質を保護したケージド化合物を合成し,生体内において,近赤外光を用いて活性物質の濃度上昇を時空間的に制御し,これまで未知であった活性発現機構の解明に貢献する.
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研究成果の概要 |
本研究で開発したD-π-D型クマリン誘導体は、2光子励起蛍光法によって、700 nm付近におよそ498 GMと比較的高い2光子吸収断面積を有することが実験的に示された。この値から、クマリン誘導体を保護基として安息香酸を保護したケージド安息香酸の2光子アンケージング効率は134GMと見積もることができた。さらに、レーザーフラッシュホトリシス法とNMRを用いた生成物分析によって、ケージド安息香酸の光反応後に生じるメチルカチオン中間体を捕捉できたため、アンケージングの際にC-O結合がヘテロリシスによって結合解離を起こしていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
既存の7-ジエチルアミノクマリン骨格の3位に2重結合を持つ電子供与基部位を導入することで、比較的高い2光子吸収断面積を付与することができた。今後、D-π-D型クマリン誘導体を基盤骨格とする光解離性保護基を用いたケージド化合物を開発することで、低毒性かつ生体透過性の高い近赤外領域の2光子励起を用いて生物活性物質の濃度上昇を時空間的に制御することができる。こうした技術を応用することによって、生体深部における疾患部位の回復や、脳内における神経伝達物質の機能解明に繋がると期待される。
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