研究課題/領域番号 |
21K20548
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
山本 恵太郎 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部マテリアル技術グループ, 研究員 (20910516)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 有機半導体 / キノイド / 結合交替 / 近赤外光吸収 / 共役系高分子 / π電子の非局在化 / 有機エレクトロニクス / 共役系分子 / 有機構造体 / 有機材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、結合交替を極限までなくしπ電子を理想的に非局在化させたモノマーを設計し合成する。そしてそのモノマーを一定間隔で区切る連結部を介してポリマー化させた、新機軸の共役系高分子を開発する。開発したポリマーの構造、物性(光吸収特性、電気化学特性等)および半導体特性を明らかにし、バンド構造に関する情報からそれらを説明付ける。これによって高移動度、低エネルギーロスかつ付加価値をもつ有機エレクトロニクス材料の開発を行う。また本分子設計に基づいたモノマーを起点とした金属有機構造体などの配位性高分子への展開を試み、機能性有機材料の創出に取り組む。
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研究成果の概要 |
鎖長の調節によって結合交替やジラジカル性を最適化したキノイドオリゴチオフェンの開発を行った。目的分子は対応するオリゴチオフェン臭素体と1,3-インダンジオンのカップリング反応によって得ることができた。合成した分子は紫外可視近赤外吸収スペクトル測定において、HOMO-LUMO遷移に起因する鋭い光吸収を示した。オリゴチオフェン4量体骨格を有するキノイド分子は吸収極大波長が900 nm以上の近赤外領域に選択的に光吸収を有することが示され、π電子の非局在性が明らかにされた。また、これらの分子は可視光領域にはほとんど光吸収をもたず、透明でありながら近赤外光に応答するセンサとしての応用が期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機エレクトロニクスは次世代の電子デバイスとして注目されており、その活性層材料として有機半導体が活発に研究されている。しかし有機半導体はπ電子の局在性により、電子材料として重要なキャリア移動度の向上が妨げられている。本研究では、共役系分子の結合交替に着目した有機半導体材料の開発を行い、得られた分子の高いπ電子の非局在性を明らかにした。このπ電子の非局在化は光吸収の長波長化を引き起こし、合成された分子は900 nmを超える近赤外領域に吸収極大を示した。近年のIoT技術の発展により近赤外光に応答するセンサの開発は重要課題であり、本研究により開発された分子はその応用が期待できるものである。
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