研究課題/領域番号 |
21K20557
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0502:無機・錯体化学、分析化学、無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷藤 一樹 京都大学, 化学研究所, 助教 (80911776)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 窒素固定 / 鉄 / モリブデン / 硫黄 / 炭素 / クラスター / 窒素還元酵素(ニトロゲナーゼ) |
研究開始時の研究の概要 |
大気中の窒素ガスをアンモニアへ還元する酵素は、この難しい反応をFe、Mo、S、ならび にC原子を有する特異なクラスター([MoFe7S9C], FeMoco)を用いて触媒する。とりわけ、FeMocoの中心に存在するC原子は他の補酵素には見られず、N2の還元と密に関わると考えられる。そこで本研究では、このC原子周りに着目した小分子モデルを合成し、C原子がどのようにFeMocoの構造に寄与し、その触媒能を達成しているか?の解明に取り組む。ここでは特に、(1) C原子を有するFe-Sクラスターの合成とその評価、(2) 配位子デザインに基づくC原子架橋型Fe二核錯体の合成とN2還元反応、に挑戦する。
|
研究成果の概要 |
本研究では、自然界での窒素固定を担う酵素の活性中心に着目し、この遷移金属、硫黄、炭素からなるクラスター(FeMoco)が どのような構造によって窒素分子を還元できるのか明らかにしようと試みた。当初の計画は、特にFeMocoの中心原子として存在する 炭素に着目したモデル分子の合成により、Fe-C-Fe型の構造を再現するものであった。目的とした配位子は合成できたものの、錯形成の段階で分解が進行したと考えられる結果が得られた。一方で、その無機骨格に着目して簡略化した構造モデルを用いて、窒素分子の捕捉と触媒的な還元反応(窒素シリル化反応)に成功した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、FeMocoの特異な分子構造に基づいてその構造-機能相関に関する知見を得ようと試みた。特にFe-C-Fe構造に着目したアプローチでは有益な知見は得られなかったものの、金属-硫黄の部分構造に着目したアプローチにより、窒素分子の捕捉と還元を達成した。これまで化学合成した金属-硫黄クラスターを用いて窒素分子の触媒的還元に成功した例は知られておらず、今回の成果は、「クラスターを用いた不活性小分子の還元反応」の端緒を切り開いたものと考えられる。またここで達成した触媒回転数は既報の錯体触媒と比較しても高く、今後の検討により窒素分子から異なる有用分子への変換反応へも展開できる可能性がある。
|