研究課題/領域番号 |
21K20573
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0601:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 柴田学園大学 |
研究代表者 |
奥野 海良人 柴田学園大学, 生活創生学部, 准教授 (50623980)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | キヌレニン / トリプトファン代謝 / プレバイオティクス / トリプトファン / 腸内環境 / インドール-3-酢酸 / インドール-3-プロピオン酸 / 脳神経疾患 / プロバイオティクス |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病発症の根本的な原因は未だに明らかではないが、脳内炎症が関連しているという神経炎症仮説は古くから支持されており、抗炎症剤の有効性も示されている。しかしながら副作用の問題から予防目的に日常的な抗炎症剤の摂取は現実的ではない。そこで本研究では食事によってトリプトファン(Trp)代謝物で、内在性の抗炎症物質でもあるキヌレニン、インドール-3-酢酸、インドール-3-プロピオン酸を増加させ、脳内炎症を抑制することを目的とする。本研究は栄養によるTrp代謝物の変化と脳内炎症の関係の一端を明らかにし、うつ病予防方法開発のための科学的基盤を提供する可能性がある。
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研究成果の概要 |
脳内炎症モデルマウスにおいて特定の乳酸菌の死菌体(HK-LAB)の摂取により、炎症性サイトカインIL-1βの減少傾向が認められた。これはHK-LAB摂取によってLPSのような強力な起炎剤による炎症も抑制する可能性を示している。 また抗生剤を投与して作成した腸内環境撹乱マウスにおけるHK-LAB投与は血中キヌレニン濃度を著増させることから、HK-LAB摂取は腸内環境の乱れによって生じる炎症反応を助長する可能性も示した。今後HK-LAB摂取がどのようにキヌレニン代謝に作用するのか、変動したキヌレニンが身体に及ぼす影響について検討する必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳酸菌の摂取が炎症抑制物質キヌレニンレベルを上昇させ、全身の炎症を抑制する可能性を示した。この結果は加熱して死菌化した菌体によるものであり、摂取する菌は必ずしも生きている必要が無い。これらのことは種々の食品に乳酸菌死菌体を加えることで味を含む食品の品質を変化させることなく、背景に炎症が関係している様々な疾患が予防可能であることを示している。また本研究で調べたトリプトファンーキヌレニン代謝を指標としてさらに多くの菌株の有用性を調べることで比較的容易に抗炎症性作用を有する菌株を探索することができるかもしれない。
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