研究課題/領域番号 |
21K20600
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
小河 澄香 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (10816250)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 菌根菌 / セシウム / 物質動態 / 溶出 |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原子力発電所の事故以降、被災した地域では、一部の樹木の放射性セシウム(放射性Cs)濃度が経根吸収により増加傾向にあることが報告されている。菌根菌は土壌中の無機元素を可溶化して樹木へ供給しているため、樹木の放射性Cs吸収を促進させていると推測されるが、その詳細は明らかにされていない。申請者は、菌根菌によるセシウム(Cs)を可溶化する機能が、樹木のCs吸収に影響を及ぼすと考え、菌根菌によるCs溶出機能の解明に焦点を当てた以下の3点、①菌根菌は鉱物に固定されたCsを溶出できるのか、②菌の種類によってその機能は異なるのか、③Cs溶出に関与する物質は何か、を本研究で明らかにすることにした。
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研究実績の概要 |
本研究は、樹木の放射性Cs集積を抑制する技術を開発するために、樹木のCs吸収に影響する菌根菌のCs溶出機能を明らかにすることを目的としている。本年度は、昨年度分離に成功した菌株を用いて、固定態Csの可溶化能に対する指標の一つであるCs吸収機能についての調査を行った。
菌根菌13種16株、腐生菌8種8株を、改変川合・小川培地を100 ml含む200 ml容三角フラスコにてにて室温及び暗黒条件下で8週間培養し、培養後の菌体中のCs量をICP-MSで測定した。その結果、ツチグリ、ハマニセショウロといった一部の菌根菌に高いCs吸収が認められた。腐生菌では、ハタケシメジに高いCs吸収が認められた。
今後は、昨年度に行ったCAS試験においてAl及びFe可溶化能が認められ、且つCs吸収能力が高かったツチグリ属、ニセショウロ属、ヌメリイグチ属の菌株に焦点を当て、Cs溶出に関与する物質の特定を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、昨年度確立した菌根菌の及び腐生菌の菌株のCs吸収能を調査した。現在、これら菌株を用いてCsの可溶化に関与する物質の特定を行っている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、長期間出勤できなかったため、当初の計画からはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
固定態Csの可溶化に関与している物質を探索するため、菌株のCs吸収能およびCAS試験により得られた指標をもとに、菌株が分泌する有機酸等の酸性物質を中心にGC-MSを用いて同定する。同定された物質については分泌量の変化も調査する。さらに、可溶化に関与している物質を特定するため、同定された物質をバーミキュライト鉱物に固定したCsに作用させ、遊離するCs量を調査する。これらにより、樹木のCs吸収に影響する菌根菌のCs溶出機能を明らかにする
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