研究課題/領域番号 |
21K20607
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0604:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
眞木 陸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究員 (60885010)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 斜面 / 浸透能 / 降雨強度 / 腐植層 / 降雨浸透 / ため池 |
研究開始時の研究の概要 |
集中豪雨の発生確率が高まる近年,降雨が斜面内にどの程度浸透するかを適切に把握することはため池堤体などの斜面を有する土構造物にとって防災上非常に重要である.しかしながら,斜面への降雨浸透挙動については,古くから数多くの研究がなされてきているものの体系的な理論は確立されていない.既往の研究では,地盤の飽和透水係数及び斜面勾配から斜面内への最終的な浸透量が導かれることが示されているが,その検討の中で降雨強度や地表面の腐植層が与える影響については考慮されていない. そこで,本研究では模型実験により,降雨強度及び地表面の腐植層が斜面への降雨浸透量に与える影響を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究では,斜面における降雨浸透挙動に対して降雨強度および地表面の腐植層が及ぼす影響を明らかにすることを目的として降雨実験を行った.実験では,表面流出流量と地盤内の飽和度を計測し,定常状態時の表面流出流量を降雨強度から差し引いた値を浸透能とし,降雨強度および腐植層の有無と浸透能の関係を求めた.なお,地表面の腐植層が浸透能に与える影響については,腐植層による表面流流速の低下に着目して実験を行った. 降雨実験の結果,傾斜角が30°の場合には,降雨強度の増加に伴い,浸透能は増加を示したが,傾斜角20°では,降雨強度の増加に伴い,浸透能は減少する傾向を示した.このように,傾斜角30°と20°で降雨強度と浸透能の関係は真逆の傾向を示した.地表面に腐葉土を設置した状態で降雨を与えた実験では,裸地地盤での実験に比べ,表面流出の発生タイミングにやや遅れが生じ,また,地盤内飽和度の挙動も裸地地盤で確認されたものとは異なっていた.しかしながら,定常状態時の浸透能は裸地地盤での実験で得られた結果とほとんど差はなく,地表面上の腐葉土による浸透能の増加は本研究では確認されなかった. 本研究の結果,降雨強度は傾斜角によって浸透能に対して与える影響が異なり,傾斜角30°では,降雨強度の増加は浸透能の増加を招き,一方,傾斜角20°では,降雨強度の増加は浸透能の低下につながる可能性が示された.しかしながら,この傾斜角20°での実験結果は実験土槽の排気不良に起因するものである可能性もあり,実際の地盤でもそのような現象が発生するかどうかも含めて詳細な検討が必要である.腐植層が斜面の浸透能に与える影響については,定常時の浸透能に対しては,本研究の範囲ではほとんど影響を及ぼさない結果となった.本研究では腐植層による表面流速の低下のみに着目しているため,根系による浸透促進の影響等についても今後,検討が必要である.
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