研究課題/領域番号 |
21K20624
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
趙 慶慈 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (60907682)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | In-cell NMR / 核磁気共鳴法 / 分子夾雑 / ゲノム編集 / 低分子量GTPase / in-cell NMR |
研究開始時の研究の概要 |
RASタンパク質は細胞内シグナル伝達の中核を担う分子スイッチであり、複数の細胞内制御因子により活性化が制御されている。また、RASの異常活性化はがんの原因となることからRASの活性制御機構は創薬標的として重要である。本研究では細胞内のタンパク質の構造情報を取得するin-cell NMR法とゲノム編集法を融合させることで特定の制御因子のRASに対する活性や親和性を細胞内(in situ)で定量的に解明する手法を開発する。本研究の達成は、制御因子の変異による疾患発生メカニズムの解明につながると同時に、細胞外刺激や阻害剤による細胞応答の数理モデリングへの応用が期待できる。
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研究成果の概要 |
RASタンパク質は細胞増殖シグナル経路における重要な分子スイッチであり、その細胞内での活性化状態は GTPase活性化タンパク質 (GAP)などの制御因子により制御されている。本研究ではゲノム編集によりGAPをノックアウトした細胞を用いて、細胞内NMR解析により特定の GAP の細胞内寄与の定量化を行った。複数のGAPノックアウト細胞内における活性型RASの存在割合の比較から、GAPの一種NF1がRAS活性化の抑制に大きく寄与していることがわかった。さらに数理モデルを用いたシミュレーションにより、細胞内在性NF1の酵素活性がin vitroでの定量値より顕著に抑制されていることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
低分子量GTPase RAS は細胞増殖のシグナル伝達における重要な分子スイッチであり、その制御の破綻はがんをはじめとする様々な疾患の原因となることが報告されているが、各制御因子が細胞内のRASの活性化状態にどの程度影響しているかは定量的に明らかにされていない。本解析手法は、実際の細胞内における特定の制御因子の寄与を定量的に捉えるものであり、様々な分子スイッチとその制御因子に対して適用可能であると考える。さらに、解析手法は創薬標的となるタンパク質の探索や、阻害剤の効果の評価にも応用可能である。
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