研究課題/領域番号 |
21K20626
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
姫岡 優介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70903160)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | システム生物学 / 数理モデル / 代謝 / 微生物 / 休眠 / 代謝モデル / 力学系 / ネットワーク / ダイナミクス / 動力学 / 細胞 / 休眠状態 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌は栄養が潤沢に供給されれば指数関数的に増殖するが、飢餓などのストレスを感じると「休眠状態」という低成長・高ストレス耐性で特徴付けられる状態に遷移する。近年、休眠状態に関する定量実験が活発に行われるようになった一方、休眠状態でよく見られる「飢餓時間の記憶現象」を説明できるような理論モデルはほとんど存在しない。 本研究では大腸菌などの複数の生物の代謝を微分方程式を用いて数理モデル化し、休眠状態に相当する挙動を示す代謝ネットワークの構造を解明する。
|
研究成果の概要 |
本研究課題は大腸菌のような単純な生物において「休眠状態」と呼ばれる特殊な生化学的状態がどのようにして生じるかを明らかにすることを目的としたものである。本研究では代謝状態恒常性が乱されることによる休眠状態への遷移の可能性に着目し、代謝状態恒常性の乱れが細胞内部の代謝反応の小さな揺らぎからどのように生じうるかを研究した。 本研究では数々の大腸菌代謝動力学モデルを実装し、代謝状態の小さな揺らぎへの応答かを調べた。その結果、「補酵素」と呼ばれる、多くの代謝反応とカップルしている分子と、また代謝反応ネットワークの疎なネットワーク構造が代謝状態恒常性の破れに大きな寄与を果たしていることが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
休眠状態は細胞の成長速度がほぼゼロになるだけではなく、小さい死滅速度によっても特徴づけられる状態であり、「生きている状態」と「死んだ状態」の境目に近い状態であると考えることができる。休眠状態への遷移のトリガーとなりうる、代謝状態恒常性の乱れを数理的に理解することは基礎研究として「生きている状態」の数理的な理解を確立するための基盤のひとつとなる。 また、休眠状態において細胞はさまざまなストレスへ高い耐性能を示すことが知られており、特に抗生物質耐性などは臨床において強い関心が持たれている。本研究の深化は応用研究へのフィードバックも期待される。
|