研究課題/領域番号 |
21K20643
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
明松 隆彦 日本大学, 文理学部, 助教 (90906637)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | テトラヒメナ / 繊毛虫類 / 配偶子 / 核 / 核膜 / 運命決定 / 繊毛虫 / 有性生殖 / 配偶子形成 |
研究開始時の研究の概要 |
テトラヒメナは、大核と小核という2種類の核をもつ単細胞生物である。有性生殖中の大核と小核は、発達段階に応じて特定の細胞領域へ移動し、分裂や崩壊を伴って次世代の新大核と新小核を作る。このことから、個々の核の運命を決定付ける機能領域の存在が想定されているが、その実体は明らかになっていない。本研究では、減数分裂を通じて作られる4個の等価な半数体小核のうち、1核のみが受精可能な配偶子(核)として選択される分子基盤の解明に挑む。さらに、配偶核としての運命遂行に必要な分子が特異的に供給される仕組みも併せて解析する。得られた研究結果から、細胞内に落とし込まれた巧妙な配偶子形成様式の理解を目指す。
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研究成果の概要 |
繊毛虫類に属する単細胞生物テトラヒメナの有性生殖では、同一の細胞内に混在する4つの核(半数体核小核)から1つが選ばれ、これが成熟して配偶子となり、異性細胞間での相互的な受精に使われる。本課題では、選択的な核の成熟機構を明らかにすることを目指した研究を行い、これに寄与する2種類の新規遺伝子(Dear3, Mfs1)を見出した。これらの遺伝子の機能解析から、個々の核の運命決定における局所的な物質輸送、並びに位置情報とは異なるシグナルの関与が示唆された。本発見は、他の生物の有性生殖には見られない、核を単位とした世代交代の仕組みを理解するための重要な知見となるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
繊毛虫類の有性生殖は、動物の精子と卵に見られるような細胞の融合を伴うことなく、異性細胞間での核の交換により行われる点で極めてユニークである。この仕組みの解明は、より広い真核生物における有性生殖の多彩性を理解するための重要な研究課題である。本研究で得られた成果は、核を単位とした配偶子形成に必須な新規遺伝子を明らかにしたものである。配偶子形成に必要な遺伝子には、繊毛虫類に特異的なものと、多くの生物に広く保存されているものが含まれる。今後の研究の進展により、真核生物がもつ配偶子形成メカニズムの共通性と、進化的なバリエーションの理解に繋がると期待される。
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