研究課題
研究活動スタート支援
本研究では以下の2点を目指す。1、リスク多型が遺伝子発現量に与える影響を効率的に定量評価する実験系を確立する(アレル特異的発現解析)。この実験系を活用することで、リスク多型の機能を“アレル比”というシンプルな指標で評価することができる。2、この実験系にCrispr-Cas9による転写因子のノックアウトを併用することで、どの転写因子がリスク多型の機能(=アレル比)を制御しているかを実験的に確認する。本研究により自己免疫疾患の病態で中心的な役割を担う転写因子を同定できると期待される。
自己免疫疾患のリスク多型の機能は特定の転写因子により制御されると推定されている。そのような転写因子の機能を実証するには新しい実験システムの開発が必要である。本研究では、ATAC-seqを改良し、効率的かつ正確にリスク多型の機能を評価できる実験システムを開発した。また、ゲノム編集技術を利用し、ヒトCD4陽性T細胞にリスク多型を正確に導入することに成功した。さらに、関節リウマチの発症に関与する候補転写因子をsiRNAを用いて効率的にノックアウトする実験系も確立した。本研究で開発した実験システムを併用することで、候補転写因子がリスク多型の機能を制御することを実証できると期待される。
自己免疫の新規創薬標的を求めて、マウスモデルや患者検体を用いた研究が活発に行われている。これらの研究活動によって、自己免疫疾患の病態理解は改善したが、創薬シーズの実用化の成功例は多くない。その原因として、従来の創薬標的がヒト疾患の発症原因を正確に捉えられていない可能性が考えられる。本研究の成果によって、ヒト免疫細胞を用いて、疾患発症の原因に基づいた病態解明が進み、有効性の高い新規創薬標的が同定されることが期待される。また、本研究で開発された新しい実験システムは、自己免疫疾患に限らず幅広い疾患の病態解明を加速させることも期待される。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 6件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)
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