研究課題/領域番号 |
21K20655
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
城本 悠助 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40912259)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 精巣 / 精子幹細胞 / R-loop / DNA損傷 / 精子形成 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖細胞は次世代に遺伝情報を継承する唯一の細胞であり、DNA損傷などに起因する DNA変異が生じると次世代に受け継がれてしまう。DNA損傷を引き起こす原因の1つとし て、R-loopの蓄積がある。R-loopは転写されたRNA鎖が鋳型であるDNA鎖と対合した安定な DNA/RNAハイブリッド鎖及び対合していない一本鎖DNAからなる構造であり、DNA損傷や低DNAメチル化を引き起こすことが知られている。本申請研究では生殖細胞におけるR-loopの解消機構、精子分化に対する影響、加えて次世代への影響についての研究を展開する。
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研究成果の概要 |
R-loop解消因子である二本鎖核酸編集酵素ADAR1を欠損する培養精子幹細胞を樹立したところ、細胞内全体のDNA:RNAハイブリッド量に変化は認められなかったが、老化マーカーであるp16の発現の上昇が認められた。また、培養細胞内にて、ADAR1が関与する因子のスクリーニングを行ったところ、R-loop制御に関与するTDP1などが協調して機能する因子の候補として同定された。Adar1による精巣幹細胞の老化への寄与と、一部のゲノム領域でのR-loop除去因子との相互作用の可能性が示唆された。精巣特異的Adar1欠損マウスを作製しており、精子形成と産仔への影響について解析を継続している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生殖細胞は次代に遺伝情報を伝達する細胞であり、その異常は次世代に受け継がれる。R-loop解消因子であるADAR1を欠損するGS細胞では細胞内全体のDNA:RNAハイブリッド量やインプリント遺伝子のDNAのメチルに変化は認められなかったが、ADAR1がTDP1などと協調して機能する可能性が示唆された。これらの成果はR-loop解消機構の理解に加え、カンプトテシンなどR-loopを誘導する抗がん剤に対する細胞の生存機構の理解にも繋がり、安全な薬剤使用に貢献できる。 ADAR1欠損GS細胞において老化マーカーであるp16の発現が上昇したことから、老化による男性不妊症の原因解明に繋がる可能性がある。
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