研究課題/領域番号 |
21K20661
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
鹿毛 あずさ 学習院大学, 理学部, 助教 (10748809)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 真核生物鞭毛 / 可視化 / メタクロナルウェーブ / 集団運動 / 遊泳 / 有性生殖 / 暗視野顕微鏡 / 位相差顕微鏡 / 共焦点顕微鏡 / 鞭毛 / 同期 / 原生生物 |
研究開始時の研究の概要 |
多数の鞭毛・繊毛の協調はヒトなど真核生物の生理機能にとって非常に重要であり、神経系の支配がなくても起こる自発的な集団運動である。個々の運動と集団運動の関係を明らかにするためには材料が均質で分解可能であることが重要であるが、先行実験では明らかな不均一性が含まれる系、分解不可能な系が使われており、個々の鞭毛運動と鞭毛の協調運動との関係は十分明らかではない。集団運動の観点から鞭毛の協調運動メカニズムを解明するため、均質な精子の集合体である群体性ボルボックス目緑藻の精子束の運動と周囲流れを可視化・定量化し、さらに有性生殖の過程における鞭毛の協調の意義を明らかにする。
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研究成果の概要 |
多数の鞭毛・繊毛の運動と個々の鞭毛運動の関係を明らかにするため、群体性ボルボックス目緑藻Pleodorina starriiの精子束を材料として、遊泳と鞭毛運動の可視化を行った。自由遊泳の可視化には暗視野顕微鏡とハイスピードカメラを用い、さらに鞭毛運動の詳細な可視化のために微細なガラスピペットで精子束を捕まえる系を構築した。精子束は同じ雄株の無性群体の約1.4倍速く泳いだ。無性群体は繊毛打タイプの鞭毛運動を示し、精子束も繊毛打タイプの鞭毛運動を示したが、精子束が分解した単体精子は鞭毛打タイプの鞭毛運動を示した。精子束が単体精子に分解する過程で、鞭毛運動が切り替わることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は群体性ボルボックス目緑藻精子束の運動を初めて定量的に解明した。その結果、無性群体と精子束では鞭毛の分布が異なること、精子束と分解した単体精子では鞭毛運動のパターンが異なることを明らかにした。群体性ボルボックス目緑藻の有性生殖の過程における鞭毛運動の意義を明らかにすることができ、鞭毛・繊毛運動と藻類学にまたがる学術的意義を持つ。さらに、低レイノルズ数環境中で動作するマイクロロボットの開発などの応用にもつながる成果である。
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