研究課題/領域番号 |
21K20673
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 真央 京都大学, 総合博物館, 研究員 (30909388)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 感丘 / 異体類 / 側線神経 / 形態的多様性 / ウシノシタ科 / ウシノシタ / 系統進化 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類は,水流を感知するための感覚器官である側線系をもつ.体の外形が左右対称な魚種では,側線系も左右対称である.一方,左右非対称な体をもつカレイ目魚類では,側線系も左右非対称であり,一部の種において海底に接する体側の側線系が著しく変形している.本研究はこの左右非対称な側線系を形態学的に精査し,体の左右非対称化によって側線系の役割が左右で分化した可能性を検証する.
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研究実績の概要 |
魚類は,水流を感受する感覚器官である側線系を具えている.体が左右非対称なことで知られるカレイ目魚類(異体類)では,側線系の外部形態も左右非対称である.さらに種によって側線系の非対称の程度が異なることから,その程度は生態的特徴や系統的背景と関連していると推察される.本課題では,異体類の生活様式の進化(すなわち体の片面を海底へ接地させ,もう片面は海中にさらすというスタイルへのシフト)が,側線系の役割に左右体側間での分化を齎したと予想したうえで,左右非対称な側線系の形態学的意義と系統的背景を議論した. 自ら採集したサンプル,既存の博物館標本,および文献調査に基づき,頭部側線系について現生カレイ目の主要グループを概ね網羅した知見を得た.特に受容器である感丘の個数における左右非対称性を重視した.その結果,カレイ目内で祖先的といえるグループでは側線系の左右非対称性は比較的低く,むしろ一般的なスズキ目魚類における状態(側線系は左右対称)に近いといえる状態であった.一方で,ウシノシタ科やササウシノシタ科では,海底に接する側(無眼側)における表在感丘の個数が著しく増加していた.側線神経の観察から,どの観察種においても感丘要素の反対側への移動はほぼ認められず,無眼側に多数の感丘をもつ種では無眼側の管器感丘が表在感丘として体表に生じるか,あるいは両体側にある表在感丘要素のうち無眼側のものが数を増していると判明した.クロウシノシタでは,無眼側の側線管が退化的であるのに対して,種内変異として有眼側に追加的な側線管をもつ個体がみられた.結論として,カレイ目の一部の科では無眼側の側線系が海底を探る器官へと変化しており,これは有眼側では保存されている管器感丘が無眼側では表在感丘へ変質していること,および,無眼側の表在感丘が増加(おそらく成長初期に分裂)することによって達成されていると考えられる.
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