研究課題/領域番号 |
21K20693
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
芝原 友也 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20908496)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脳梗塞 / 内因性機能回復 / fibronectin / ペリサイト / マクロファージ / laminin α2 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 組織修復 / Fibronectin / Laminin α2 / 神経系ネットワーク再構築 / 細胞外マトリックス |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞発症後は、脳組織の神経系細胞や血管系細胞、傷害後に局所動員される血球系細胞が相互に作用して内因性機能回復機構が働く。脳微小血管の壁細胞ペリサイトは、脳梗塞後の梗塞内部では血球系マクロファージの動員を誘導して壊死組織の処理に関わり、梗塞周囲領域ではアストロサイトに作用してオリゴデンドロサイト前駆細胞の再髄鞘化を促進させることで、内因性機能回復を誘導する。これらの細胞が的確に作動するためには、細胞周囲の微小環境を制御する細胞外マトリックス (ECM) 蛋白質が、脳梗塞後に再構築されることが必要不可欠である。本研究の概要は、ECMが果たす役割を解明し、新規治療法開発の糸口とすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究課題では脳梗塞後に再構築される細胞外マトリックス(ECM)が、細胞間の相互作用を制御して内因性機能回復を誘導する機序について検討した。脳梗塞後の梗塞内部では、ペリサイトがfibronectinを産生し、マクロファージによる壊死組織の処理を促進することで組織修復を誘導した。また、梗塞内部のペリサイトは梗塞/健常境界領域におけるアストロサイトのlaminin α2産生を促進し、オリゴデンドロサイト前駆細胞の分化/再髄鞘化を介して、神経系ネットワーク再構築による機能回復をもたらすことを明らかにした。ECM蛋白が脳梗塞後の各細胞間相互作用を制御することが内因性機能回復に重要であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳梗塞によって運動機能障害が生じると、寝たきりの状態となり介護が必要な状況に陥る。脳梗塞急性期以降の機能回復を促進させる治療はリハビリテーションのみであり、機能回復をもたらす治療の開発は喫緊の課題である。脳梗塞発症後は、脳組織の神経系細胞や血管系細胞、傷害後に局所動員される血球系細胞が相互に作用して内因性機能回復機構が働く。本研究課題では脳梗塞後に再構築された細胞外マトリックス蛋白が、細胞間相互作用に重要な役割を果たし、内因性機能回復を誘導する機序の一端を担うことを明らかにした。今後細胞外マトリックスをターゲットとした新規治療法開発の基盤となることが期待される。
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