研究課題/領域番号 |
21K20705
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
上條 諭志 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, リサーチフェロー (20910491)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 小脳 / 自閉症スペクトラム障害 / プルキンエ細胞 / 脳の性差 / 発達期小脳活動 / 視床皮質回路 / マクロスコピックイメージング / カルシウムイメージング / 発達期神経活動 / 神経活動抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は発達障害の一種で、有病率は人口の数%と言われています。近年のヒト研究により、出産前後の小脳損傷がASDの発症確率を36倍にも高めることがわかりました。マウスの実験でも、遺伝子操作により発達期の小脳異常を引き起こすと、成長後に自閉症のような行動を示すと報告されています。小脳は運動制御の中心なので、ASDの発症に関わるのは意外です。ただ、今までの研究は小脳をずっとおかしくするものであり、どの時期に重要なのか、症状は回復するのかといった疑問は謎のままでした。この研究では小脳の機能を一時的に抑えるマウスを使って、小脳がいつ、どのようにASDの発症に関わるのか調べます。
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研究成果の概要 |
発達期の小脳活動の異常が自閉症スペクトラム障害(ASD)の原因であるという「発達期小脳機能異常仮説」に注目し、マウスの系を用い、生後11-15日の間の小脳活動を抑制することで、オス特異的に社会性の低下が生じることを示した。常同行動などの他のASD様表現型は観察されず、メスでは異常が見られなかったことから、各表現型には固有の臨界期が存在し、小脳の活動異常に対する感受性が性別により異なっていることが示唆された。また、ASDに高率で併存する感覚異常と小脳との関係を調べるため、広視野カルシウムイメージングの系を構築し、感覚刺激に対する大脳皮質の反応を解釈可能性の高い形で計測することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
発達期の小脳活動の異常が成体の行動に影響を与えることは、ASDの発達期小脳機能異常仮説をより強固にするのみならず、ASDで見られる諸症状のうち、何が可逆か(治療可能性)、治療をいつ開始すべきか(介入時期の決定)といった疑問へのヒントを与えている。また、オスのみで表現型が観察されたことは、ASD患者が男児に多い事実と符合し、小脳活動の異常に対する感受性の違いによってASD患者の性比の偏りを説明できる可能性を示唆している。
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