研究課題/領域番号 |
21K20742
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徐 旻恵 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20910201)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アミノ酸トランスポーター / SLC7A5 / がん微小環境 / がん免疫 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞は、他の細胞との様々な相互作用により、がん細胞が生存しやすい微小環境を作っている。本研究は、このがん微小環境において、がん細胞型アミノ酸トランスポーターを阻害することで、がん免疫への増強効果が得られ、これが抗腫瘍効果に寄与することを実証し、その機序を明らかにする。また、がん細胞のアミノ酸トランスポーター阻害と免疫チェックポイント阻害薬の併用により、抗腫瘍作用の相乗効果が得られることをマウスモデルで明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、がん微小環境におけるアミノ酸トランスポーターLAT1(L-type amino acid transporter 1; SLC7A5)の役割を明らかにすることを目的として、in vivoおよびin vitroにおける検討を行った。 in vivoの実験では、BALB/cマウスおよびC57BL/6マウスに4T1マウストリプルネガティブ乳がん細胞、CT26マウス結腸がん細胞、およびB16F10マウスメラノーマ細胞を皮下接種し、同種移植マウスモデルを作製した。このマウスにLAT1阻害薬を2週間連日静脈内投与し、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)を週に1回腹腔内投与して、両者の併用効果を検討した。 その結果、両者を併用した場合に顕著な相乗効果の増強が得られ、腫瘍内へ浸潤する細胞障害性T細胞の増加が観察された。また、in vitroの実験においては、LAT1阻害によって複数のサイトカインの分泌に変動が生じることが明らかになった。これらの結果は、免疫抑制性がん微小環境形成におけるLAT1の重要性を示し、LAT1阻害薬によりがん細胞からのがん免疫抑制に寄与するサイトカインの分泌を抑えることで、がん免疫治療に新たなアプローチを提供する可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
同種移植マウスモデルを作製するin vivoの実験において、BALB/cマウスおよびC57BL/6マウスに4T1マウストリプルネガティブ乳がん細胞、CT26マウス結腸がん細胞、およびB16F10マウスメラノーマ細胞を皮下接種し、腫瘍を形成させた。これらのマウスにLAT1阻害薬を2週間連日静脈内投与することで、用量依存的な腫瘍増大抑制効果を得られた。また、抗PD-1抗体を週に1回腹腔内投与して、こちらにおいても同様に用量依存的な腫瘍増大抑制効果を得た。これらの用量依存性をもとに、両者の併用効果を検討するために適切な用量を決定した。決定した用量で併用投与を行ったところ、顕著な抗腫瘍効果の増強を得ることができた。併用による抗腫瘍効果の増強作用の機序を検討するため、腫瘍内へ浸潤する細胞障害性T細胞を計数したこところ、LAT1阻害薬単独投与で腫瘍内へ浸潤する細胞障害性T細胞が増加することが明らかになった。これは、LAT1阻害薬にがん免疫増強効果があることを示唆している。LAT1阻害薬は、mTORC1経路の抑制とGAAC (general amino acid control)経路の活性化を介して全般的タンパク質合成抑制を生じることが明らかになっているが、その一環としてがん細胞が分泌する免疫抑制性のサイトカインの産生が抑制され、それが免疫抑制的ながん微小環境の形成を抑制するものと考えられる。実際、腫瘍内の複数の免疫抑制性サイトカインの含量が低下することを確認した。また、in vitroの実験においても、LAT1阻害によって腫瘍細胞からの複数のサイトカインの分泌が低下することを明らかにした。観察されたサイトカインの変動から、LAT1阻害薬は免疫抑制的ながん微小環境の形成を抑えることが示唆されたため、腫瘍内の細胞障害性T細胞以外の免疫系細胞を計数し、変動を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において、LAT1阻害薬のがん免疫を増強する作用が支持されるデータを取得できているが、今後は、シングルセルRNA seq解析を行い、LAT1の発現とがん微小環境細胞制御の関連性を明らかにする。得られるシングルセル解析の結果を参照し、LAT1阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)の相乗効果の全体像を明らかにし、機序の詳細を解明する。
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