研究課題/領域番号 |
21K20748
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
志摩 亜季保 福山大学, 薬学部, 助教 (10910151)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 細胞接着分子 / コレステロール / クローディン / 転写調節 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞接着分子クローディンD1(CLDND1)の発現低下は、血液脳関門の破綻を通じて脳卒中の発症および悪化に関与することが考えられる。また、脳卒中の危険因子の1つとして脂質異常症が知られている。申請者はこれまで、ロバスタチンによりコレステロールを低下させると転写因子RORαによるCLDND1の転写調節が抑制されることを明らかにした。しかし、コレステロールやその中間代謝物を含むコレステロール類によるCLDND1の転写調節機構は不明である。本研究では、コレステロール合成系の中間代謝物がCLDND1の転写調節に及ぼす影響を評価し、コレステロール類を介したCLDND1の発現調節機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
脳卒中は、脳血管の閉塞または破裂により急激な意識障害や神経症状を呈する疾患であり、脳血管の損傷部位や重症度により片麻痺、言語障害、高次機能障害などの後遺症を発症する。血管内皮細胞における細胞接着分子クローディンD1(CLDND1)の発現量低下は脳卒中の発症および悪化に関与することが考えられる。また、疫学的調査の結果から脂質異常症が脳卒中の危険因子の1つとして報告されているが細胞接着分子の発現調節に対するコレステロールの影響は不明である。 これまで、転写因子RORαがCLDND1の転写に対して促進的に作用することを明らかにした。また、RORαのリガンドとしてコレステロール類が作用することから、コレステロール低下薬であるロバスタチンを用いてCLDND1の転写調節に対する影響を検討した。その結果、ロバスタチンによるコレステロールの低下は、CLDND1の発現調節に対して抑制的に作用することが明らかになった。ロバスタチンは、コレステロール合成経路の上流を阻害するためコレステロール以外の中間代謝物の合成量も低下する。本研究では、RORαのリガンドとして最も効果のあるコレステロール中間代謝物を特定し、CLDND1の発現量をコントロールすることで、脳卒中に対する効果的な治療薬の開発を目的とする。 2022年度は、RORαを介したCLDND1の発現調節に対するイソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸の関与について検討した。ロバスタチン処理細胞にコレステロールまたはイソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸を添加しRORα応答配列へのRORαの応答性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度は、メバロン酸より下流のコレステロール中間代謝物であるイソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸によるRORα応答配列へのRORαの応答性評価について行った。コロナウイルス感染症に関連して研究試薬の入手の遅れ、他業務の増加による研究課題にかけられる時間の不足等により、イソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸の応答性評価に当初の計画より時間がかかってしまった。そのため、コレステロール中間代謝物によるCLDND1発現への影響について評価するまでは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでの結果から選出したコレステロール中間代謝物によるCLDND1発現への影響をリアルタイムPCR法およびウエスタンブロット法により検討する予定である。具体的には、ヒト血管内皮細胞に選出したコレステロール中間代謝物を添加し、CLDND1のmRNAおよびタンパク質の発現量を評価する。
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