研究課題/領域番号 |
21K20756
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 高子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60908721)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症 / シングルセルシーケンス / Epstein-Barr virus / 伝染性単核症 / EBウイルス感染細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)は日本の小児と若年成人に報告が多い希少疾患で、急激な経過で病勢が進展する重篤な疾患である。EBV-HLHは宿主免疫応答の異常により発症するとされているが、免疫異常をきたす背景には幅広い病態が混在し、未だ明らかでない点も多い。近年シングルセルシーケンス(scRNA-seq)が種々の病態解明に応用されている。scRNA-seqを用いて、血液検体中の全免疫細胞やEBV感染細胞の遺伝子発現情報を細胞単位で解析することで、EBV-HLHの背景にある免疫異常やEBV感染細胞の特徴を解明し、治療抵抗例のバイオマーカーや新規治療標的の検索につなげる。
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研究成果の概要 |
シングルセルシーケンスを応用し、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)の病態解析を行った。EBV-HLH症例の各免疫細胞の遺伝子発現を特徴付け、EBウイルスの典型的初感染像である伝染性単核症(EBV-IM)と比較検討した。EBV-HLH3例、EBV-IM2例および健常人2例から得られた計37,405細胞の末梢血単核球を解析した。EBV-HLHではⅠ型インターフェロンシグナリングに関わる遺伝子の発現増強が共通してみられ、特に単球系で遺伝子発現の強い変化を認めた。EBV-IMの急性期に特異的に出現し、EBV-HLHでは希薄なCD8陽性T細胞クラスタが確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
EBウイルス(EBV)は世界に普遍的に存在するウイルスだが、その感染により時に伝染性単核症(EBV-IM)を発症し、さらに稀にEBV関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)という重篤な疾患を発症する。これらのEBV感染性疾患の詳細なメカニズムは十分に解明されていない。EBV-HLHの治療標的としてⅡ型インターフェロン(IFN)が着目されてきたが、本研究ではⅠ型IFNシグナリングの関与が示され、新たな治療標的の可能性を示唆した。また、EBV-IMに特異的に出現が確認されたCD8陽性T細胞クラスタの遺伝子発現プロファイルは、EBV感染に対する免疫応答を理解する上で重要な知見と考えられた。
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