研究課題/領域番号 |
21K20777
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 梨沙 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50645801)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 住血吸虫 / 宿主自然免疫 / 寄生虫ー宿主間相互作用 / 感染免疫 / 寄生虫-宿主間相互作用 / 宿主免疫 / initiation factor / 寄生虫 / 成長因子 |
研究開始時の研究の概要 |
住血吸虫症は、世界で2億人以上が罹患する”顧みられない熱帯病”である。病態の主体は体内に蓄積された虫卵であるため、幼虫の成長・産卵の制御は、病態の抑制と虫卵の伝播阻止に重要である。免疫応答が正常に機能しないマウスでは、住血吸虫の成長と産卵が阻害される。これは、住血吸虫が宿主免疫機構を利用し成長・産卵することを示唆する。本研究は、住血吸虫の成長・産卵を促す宿主免疫のinitiation factor の探索と機序の解明を目的とし、住血吸虫感染マウスモデルを用いて検討する。研究成果は住血吸虫を「成虫にさせない・産卵させない」ための画期的な知見となり、虫卵の伝播阻止につながる学術的基盤となる。
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研究実績の概要 |
住血吸虫症の病態の主体は、体内に蓄積された虫卵であるため、幼虫の成長・産卵の制御は病態の抑制と伝播阻止に重要である。免疫応答が正常に機能しないマウスでは、住血吸虫の成長が阻害される。住血吸虫は宿主免疫機構を利用し成長・産卵することが示唆されるが、成長・産卵を促進するinitiation factor が存在するのか、いつ・どこで・どのように幼虫に影響を与えるのかは不明である。そこで本研究は、宿主の自然免疫細胞が住血吸虫の成長・産卵を促すinitiation factor であるという仮説を住血吸虫感染マウスモデルを用いて検証した。 これまでの検討の結果、一部の自然免疫細胞の欠損による住血吸虫の成長不良は、宿主に感染後、約1週間寄生する肺ではなく、感染2~5週目の腸管静脈寄生時に起こることが示唆された。そこで、R4年度は、一部の自然免疫細胞がこの成長不良に関与するのか検証するため、住血吸虫感染マウスへの抗体投与実験ならびに種々の細胞移入実験を行った。種々の免疫細胞を欠失させたり、移入し補うことで、住血吸虫の成長・産卵への各種免疫細胞の影響を宿主生体内で観察することができた。その結果、ある種の自然免疫細胞が住血吸虫の成長・産卵に影響を与えることを見出した。引き続き今後は、宿主自然免疫細胞がどのように住血吸虫の成長不良・虫卵数の減少に影響するのか、自然免疫細胞が産生する免疫因子の特定とその機序を解明していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R3年度の研究結果を受けて、R4年度は、住血吸虫の成長不良・虫卵数の減少に影響する宿主自然免疫細胞を特定するため、種々のin vivo抗体投与実験や自然免疫細胞の養子移入実験を行い、ある種の自然免疫細胞が住血吸虫の成長・産卵に関与することを見出した。しかしながら、予定していた目標の一つである、特定した自然免疫細胞がどのような機序で住血吸虫の成長に影響を及ぼすのかについてはR4年度内に結論を導き出すことができなかった。 R4年度は、研究代表者の妊娠により、予定していた検討が実施できなかったこと及びR4年度中に産休に入ったことが進捗状況に影響した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、R4年度に見出した、自然免疫細胞の動態及び生理活性物質産生能と住血吸虫の成長・産卵の相関性を探る。さらに、住血吸虫感染免疫不全マウスを用いたin vivo の免疫学的解析を中心に行い、特定した自然免疫細胞が産生する免疫因子の特性と住血吸虫の成長・産卵を制御する機序を明らかにしていく。
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