研究課題/領域番号 |
21K20782
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
塩沢 綾子 東邦大学, 医学部, 助教(寄付講座) (00912966)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 非結核性抗酸菌症 / 宿主応答 / 上皮バリア / オートファジー |
研究開始時の研究の概要 |
肺非結核性抗酸菌症は、年単位の抗菌薬の投与をもってしても治療困難な難治性の呼吸器感染症である。本研究では、肺非結核性抗酸菌症の起因菌として最も多い、Mycobacterium avium(M.avium)に焦点を当てた。M.aviumに感染した患者では気道上皮バリア機能の低下が指摘されている。申請者は去痰剤の一種であるN-アセチルシステインをM.aviumに感染した気道上皮細胞およびマウスに投与すると、感染気道上皮の抗菌ペプチドの産生が誘導され、菌数が減少することを見出した。本研究は、M.aviumに感染した気道上皮細胞の免疫反応を解析することでより有効な治療法の発見を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、Mycobacteirum avium (M.avium) に感染した気道上皮細胞の免疫反応を解析することでより有効な治療法の発見を目指すものである。申請者は肺胞上皮細胞の宿主防御反応に焦点を当てた。 M. aviumに感染したマウスのⅠ型肺胞上皮細胞(AT1s)においてオートファゴソームマーカーであるLC3の発現が減少していた。N-アセチルシステイン(NAC)を投与した感染AT1sでは菌数が減少し、LC3の発現の回復がみられた。上流因子の探索の結果、感染AT1sではmTORC1活性が増加しており、オートファジーフラックスが低下していた。NACの投与は感染AT1sにおいてmTOR活性を負に制御するSLC37A4の発現を増加させ、障害されたオートファジーフラックスを回復していた。なお、オートファジーの阻害剤であるbafilomycinの投与は感染AT1sにおけるNACによる菌数抑制効果を阻害した。また、オートファジー促進剤であるrapamycinを投与すると感染AT1sにおいて菌数は減少した。 これらの結果は、M. aviumが感染したAT1sではオートファジーフラックスが阻害される可能性、及びそれが慢性感染に寄与していることを示唆している。また、NACが免疫修飾剤としてM.avium感染AT1sにおいて宿主防御的に働く可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
必要な抗体の入手および条件検討に想定以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は現時点までの解析で論文投稿、査読中である。今後は追加実験を含め追加の実験を実施予定である。今後の研究の推進方向としては、菌種の変更(例:M.abscessus complex)や感染細胞の変更(気管支上皮など)を試みてNTMが宿主肺上皮に及ぼす影響について明らかにしていきたい。
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