研究課題/領域番号 |
21K20798
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
荒牧 修平 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60907872)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 質量顕微鏡 / 質量分析イメージング / DNA / 超高線量率照射法 |
研究開始時の研究の概要 |
超高線量率照射法(FLASH)は、有害事象を軽減することから、従来の線量限界を超えた処方線量をがんに照射できる可能性が期待されている。その生物学的メカニズムとして酸素枯渇仮説(Oxygen depletion hypothesis; ODH)が提唱され、根治照射応用に向けて、in vivoにおけるエビデンスの構築が求められている。そこで、本研究では、FLASH照射後の担癌マウスにおけるDNA酸化損傷の腫瘍限局性について質量顕微鏡を用いて検証する。これにより、FLASHがなぜ抗腫瘍効果を落とさずに有害事象を低減できるかの機序解明につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的であった、「FLASHによる腫瘍部と正常組織におけるDNA酸化損傷を、質量顕微鏡を用いて分子レベルで検証すること」に対し、本年度は、質量顕微鏡によるDNA観察プロトコルの開発を行った。 プロトコルの基本的な流れとしては、試料の脂質を洗浄、除去し、その後タンパク質を分解、そして最後にヌクレアーゼによって、DNA二重らせん構造を消化するといった手順で行った。具体的には、酵素の量や時間、そして、質量顕微鏡で用いるマトリックスというイオン化促進剤の種類や濃度について条件調整を行った。質量顕微鏡はレーザーを使ってイオン化を行うMALDIを搭載する装置を用いた。 その結果、デオキシヌクレオシドの質量顕微鏡での観察に成功した。またRNA由来のヌクレオシドも高い感度で観察することができた。ところが、本来目的としていた、8oxoguanosineとRNA由来のguanosineの分子量が同じであったため、さらにグリコシラーゼで塩基レベルを観察する方針とした。その結果、8oxo-guanosineの標品から8oxo-guanineを観察することには成功したが、生体組織から塩基レベルのシグナルは検出することができなかった。今後は、生体試料からの塩基シグナルを検出できるよう、条件を検討したい。また、本来質量顕微鏡が得意とする脂質領域についても測定を行っていきたい。 本成果を第27回浜松医科大学シンポジウムで発表し、優秀賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、質量顕微鏡を用いてDNAを観察することと、FLASH照射の両軸から成り立っているが、アメリカで行う予定であったFLASH照射実験が新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となった。今年の10月には渡米できることが再度決まったため、本科研費の当該年度内には一定の成果を出せると考える。
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今後の研究の推進方策 |
以下が研究計画である。①担癌マウスを作成し、FLASH照射と通常陽子線照射を行う。②液体クロマトグラフィー質量分析法によって腫瘍部と正常組織における8オキソグアニンの発現量を調べる。③②を踏まえて、組織を核酸酵素で処理した後に質量顕微鏡を用いて、腫瘍と正常組織における8オキソグアニンの可視化を行う。④③で得られた質量顕微鏡による8オキソグアニンの分布と病理学組織の血管の位置関係を照らし合わせる⑤放射線治療抵抗性の癌腫も含め複数のセルラインを用いた比較を行う。
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