研究課題/領域番号 |
21K20805
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩崎 健 九州大学, 大学病院, 准教授 (40766185)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 軟部肉腫 / 骨軟部腫瘍 / RNAメチル化 / エピトランスクリプトーム / 網羅的解析 / RNA修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
骨軟部腫瘍の多くは、分化傾向に基づく診断分類が行われるが、病理診断困難例が多く予後不良である。申請者は、軟部肉腫の病態を細胞分化におけるエピゲノム制御の破綻ととらえ研究し、一部の肉腫においてヒストンH3遺伝子の変異を認め、診断マーカーとなることを報告した。近年、RNA修飾によりRNAの安定化、翻訳制御が起きることで遺伝子発現の制御が起こるエピトランスクリプトーム制御が明らかとなり、一部癌腫における悪性形質との関連が報告されている。本研究は、軟部肉腫の病態をエピトランスクリプトーム制御機構の破綻に起因した細胞分化異常という観点から解明し、創薬標的の探索を目指す。
|
研究成果の概要 |
軟部平滑筋肉腫のRNA-seq、ゲノムシークエンスデータを用いた解析を行った。RNA-seqでは、RNAメチル化酵素であるMETTL3遺伝子高発現群は、低発現群と比較し、予後不良の傾向であった。遺伝子変異解析では、17%の症例でALKBH5の遺伝子増幅を認めた。腫瘍組織サンプルの免疫染色ではMETTL3、WTAP、ALKBH5高発現は、低発現と比べ有意にMitosisが多かった。PD-L1高発現がMETTL3高発現で有意に多く、YTHDF2高発現で多い傾向にあった。 エピトランスクリプトーム修飾酵素の阻害とチェックポイント分子の阻害をすることは、新規治療標的となるかもしれない。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
軟部平滑筋肉腫は、有効な治療薬が少なく予後不良の疾患である。近年、腫瘍シグナル伝達経路、免疫チェックポイント分子を標的とした治療が、短期間の無増悪生存は得られるものの、根治は困難である。 近年、遺伝子発現を調整する因子として、RNAの翻訳後修飾がRNAの安定化、分解促進に寄与するエピトランスクリプトームという概念が登場した。我々は、RNAメチル化酵素の遺伝子異常を解析し、ALKBH5遺伝子増幅を見出した。免疫染色でALKHBH5高発現、METTL3高発現は、低発現と比べて、有意に核分裂数が多かった。以上から、RNAメチル化酵素METTL3、ALKBH5の阻害は新規治療標的となることが示唆された。
|