研究課題/領域番号 |
21K20811
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
茂田 啓介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (10649875)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 尿路上皮癌 / 抗癌剤耐性 / 代謝リプログラミング / IDH2 / イソクエン酸デヒドロゲナーゼ / 嫌気解糖系 / メタボローム解析 / 膀胱癌 / グルタミン / ペントースリン酸回路 / 抗癌剤耐性尿路上皮癌 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、抗癌剤耐性尿路上皮癌細胞を用いて細胞内代謝メタボローム解析により見出したメタボリックリプログラミングによる癌の進化解析を行う。抗癌剤耐性UC株は好気的リン酸化から嫌気解糖系およびTCA回路の逆行により酸素に依存しないエネルギー回路に依存している。その中心的役割を果たす酵素にIDH2があげられ、IDH2のdown regulationや阻害剤投与により代謝メタボロームが阻害され、抗癌剤感受性変化を確認する。
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研究成果の概要 |
本研究では、尿路上皮癌における抗癌剤耐性後の代謝リプログラミング機構を明らかにした。UC野生株、CDDP耐性株、GEM耐性株の3細胞における水溶性代謝産物の網羅的定量解析を行った。結果、GEM耐性株の代謝機構はCDDP耐性/野生株と異なり、1)解糖系(ピルビン酸/乳酸)代謝産物の産生量が有意に高いこと、2)ペントースリン酸回路の主経路であるピリミジン代謝経路に関連する代謝産物量が高いこと、3)α-ケトグルタル酸、イソクエン酸、クエン酸の産生量が有意に高く、クエン酸回路(TCA cycle)が一部「逆行性」に駆動していること(reductive TCA cycle)を確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膀胱癌細胞は抗癌剤暴露の過程で細胞内代謝機構をリプログラミングすることで抗癌剤耐性機構を獲得することが分かった。IDH2阻害によるHif1-αの制御が難治癌を克服する新規治療標的になりうることが示唆された。IDH2阻害薬は悪性脳腫瘍や再発性急性骨髄性白血病に一部臨床応用が開始されていることから、今後IDH2を標的とした新規治療法の開発は治療選択の乏しい抗癌剤耐性UC患者への予後向上に向けて大きく寄与すると考えている。
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