研究課題/領域番号 |
21K20831
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高田 智司 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (60594504)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 患者由来腫瘍同所移植 / 胆道癌 / 患者由来腫瘍同所移植マウスモデル / PDOX / 個別化医療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、未開発の胆道癌の患者由来腫瘍同所移植(PDOX)マウスモデルの確立である。PDOXマウスモデルは、一般的な皮下移植モデルと異なり、周囲臓器への浸潤や遠隔転移を生じるため、患者個人の臨床病態に極めて近い。このため、病態解明や新規治療法開発のみならず個別化医療にも最適なモデルである。移植された腫瘍は病理学的評価に加え、継時的変化をCTおよびPET-CTで撮影することで、臨床診療に近い形で評価を行う。この実験系を発展させることで、モデルマウスから得られた患者腫瘍の特性をもとに、最適な治療法を胆道癌患者に還元できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、未開発の胆道癌の患者由来腫瘍同所移植(Patient Derived tumor Orthotopic Xenograft:以下、PDOX)マウスモデルの確立である。マウス胆管への有効なカテーテルの挿入法の確立と癌細胞を胆管内へ注入することで移植可能かという点についてまず検討を行う方針としている。最終的には患者由来胆道癌細胞をヌードマウス胆管内へ移植し、生着させ腫瘍の進展や悪性度の評価を行うことを目指す。このモデルは個別化医療を目的とした情報集積のツールとして利用可能である。令和4年度はマイクロカニュレーションシステムを用いてマウス胆管へカニュレーションを行い、細胞外マトリックスゲルに混ぜたヒト胆管細胞株のHUCCT-1を注入し生着の度合いを観察した。動物用エコーVevo2100を用いて週1回胆管および肝臓を観察した。さらにマウス血清CA19-9の測定を行った。HUCCT-1の細胞数や観察期間の調整を行ったが、結果的には生着が得られなかった。 マウスは胆管が非常に細く手技的な難易度が高いため、令和5年度はまず免疫不全ラットを用いて同所移植手技を確立することを目標とした。ラットの分枝胆管を確保し、カニュレーションした後に、マトリゲルに混ぜたHUCCT-1の注入を行った。ラットでは尾静脈より間欠的に採血を行うことができるため、定期的に血清CA19-9を測定した。また、動物用エコーで腫瘍の増大経過を観察した。その結果、CA19-9の上昇と腫瘍の描出が可能となった。肝臓を観察したところ、肝門部に腫瘍形成を認めていた。また、多発肝腫瘍を認めた個体や肺転移を認めた個体が観察された。 胆管癌患者由来オルガノイドを用いて、同様の手技で免疫不全ラットに同所移植を行った。移植手技は問題なく施行できたが、腫瘍の浸潤や転移は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスによる同所移植の難易度が高いため、ラットでのモデル作成と評価を行っている。今後、実際にヌードマウスもしくはNSGマウスを用いてマウスへの移植手技を確立しようとしている。
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今後の研究の推進方策 |
免疫不全ラットでは、胆管への同所移植手技はほぼ確立できた。また、患者由来オルガノイドも免疫不全ラットであれば生着可能であることが証明できた。ラットの実験で会得した実体顕微鏡下のマイクロサージェリー技術を用いて今年度はマウスへの同所移植手技の確立を目指す。また、患者由来オルガノイドの移植により浸潤・転移能の評価も進める。
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