研究課題/領域番号 |
21K20837
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中武 大夢 鳥取大学, 医学部, 特命助教 (30903364)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 癌 / がんウイルス療法 / 腫瘍溶解性ウイルス療法 / 細胞融合 / HDAC阻害剤 / 併用療法 / 遺伝子治療 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍溶解性ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍溶解性ウイルス療法は、ウイルスが感染した腫瘍細胞を直接破壊する腫瘍溶解作用と、溶解された腫瘍に対し誘導される抗腫瘍免疫という2つの作用を併せ持つがん治療戦略である。腫瘍溶解性ウイルスの中には感染細胞に細胞融合を引き起こすものも存在しており、その融合能が腫瘍微小環境を改善し上記2つの抗がん作用を高めることも分かってきている。一方で、細胞融合が生じ難い癌細胞も存在しており、そういった細胞では抗がん作用の強化が見られなかった。そこで本研究では、ウイルスの細胞融合をより広範ながん細胞で発揮させる制御手法を確立し、ウイルスによる抗がん効果の最適化を図る。
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研究成果の概要 |
HDAC阻害剤TSAは、感染した腫瘍細胞に細胞融合を引き起こすことで強力な治療効果を発揮する融合型腫瘍溶解性ワクシニアウイルス(FUVAC)の融合活性を強化した。TSAは腫瘍細胞の細胞構成に関わる遺伝子発現を調節し、細胞融合効率を高めることが示唆された。担癌マウスモデルにおいて、FUVACとTSAの併用はそれぞれの単体投与と比較しその腫瘍増殖を有意に抑え、生存期間を延長させた。以上より、TSAはFUVACの有用な併用剤となり得る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
主に難治性がんを標的とする腫瘍溶解性ウイルス療法では、より強力な抗がん作用を有する治療用ウイルスの開発が求められる。細胞融合形質を有する腫瘍溶解性ウイルスはその融合活性により強力な抗がん作用を発揮するが、中には細胞融合効率の低い腫瘍細胞も存在していた。TSAとの併用により腫瘍細胞の細胞融合活性を高めることは、より広範な腫瘍に対しFUVACの強力な抗がん作用を発揮させることに繋がる。またTSAの標的遺伝子を調査することで、細胞融合に関わる宿主因子の探索も可能となる。
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