研究課題/領域番号 |
21K20841
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高島 謙 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10802647)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ヒストン修飾 / 核小体 / 乳癌 / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
乳癌は女性で最も多い癌であり、その病態の解明や治療標的の探索は急務である。特に予後不良の乳癌ではエピジェネティクス異常が生じるが、その原因や意義は不明である。申請者は新規ヒストン修飾制御因子Xを同定し、分子XがヒストンH3K27me3修飾を制御することを発見した。これまで分子Xの発現異常が乳癌の予後不良因子であることが報告されているものの、そのメカニズムは未解明である。本研究では新規分子Xによるヒストン修飾制御の詳細な分子機構を明らかにするとともに、この現象が乳癌の進展・形成に与える影響を明らかにする。
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研究成果の概要 |
我々は新規ヒストン修飾制御因子として核小体タンパク質Xを同定し、分子XがヒストンH3K27me3修飾を制御することを見出した。本研究では(1)分子XによるH3K27me3修飾制御メカニズムと (2)乳癌の形成・進展における分子Xの役割に着目した。 まずCUT&RUN-seqの結果から、分子XはH3K27me3をゲノムワイドで制御することが明らかとなった。また分子Xは各種H3K27me3修飾酵素群と相互作用し、ヒストン修飾における"デコイ"様の役割を果たしていることが推察された。さらに免疫不全マウスへの腫瘍移植実験から、分子Xは乳癌の形成・進展に重要であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子Xは乳癌の予後不良因子として報告があり、また予後不良の乳癌患者由来組織ではH3K27me3修飾の低下が指摘されていたが、両者の関連についてはこれまで知られていなかった。本研究により分子XによるH3K27me3修飾機構を見出し、また分子Xは乳癌の形成・進展に必須であることが明らかとなった。我々の治療モデルを用いた結果から、この分子Xそのもの、またはヒストン修飾制御機構は難治性乳癌の新規治療標的となり得ることが推察され、生物学的意義のみならず臨床応用へ発展性も期待できる知見であると考えられる。
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