研究課題/領域番号 |
21K20865
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺町 涼 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00908717)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 間質性肺炎 / 急性増悪 / 予後 / 深層学習 / AI構築 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
間質性肺炎は慢性進行性の線維性肺疾患の総称であり、治療法や予後など多様性に富むが、その診断が難しく、さらに同一疾患でも症例毎に経過が大きく異なるため、治療選択が困難である。特に1ヶ月以内に急激な病状の悪化を来す”急性増悪”は院内死亡率50%と予後不良な病態であるが、その発症を予測することは非常に困難であるため、治療予後や急性増悪の推定手法が望まれてきた。本研究では患者ごとに間質性肺炎の急性増悪及び予後を高精度に予測し、適切な医療を推奨可能にする機械学習モデルを構築し、Precision Medicineに活用可能な手法開発を提案する。
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研究実績の概要 |
間質性肺炎は慢性進行性の線維性肺疾患の総称であり、予後や治療法につき多様性に富む。しかし一般の呼吸器科医には診断が難しく、同一疾患でも症例毎に経過が多く異なるため治療選択が困難である。特に1カ月以内に急激な病状の悪化を来す“急性増悪”は院内死亡率50%と予後不良な病態であるが、間質性肺炎専門医ですらその発症を予測することは非常に困難であるため、治療予後や急性増悪の推定手法が望まれてきた。本試験の目的は「患者ごとに間質性肺炎急性増悪及び予後を高精度に予測し、適切な医療を推奨可能にするモデルを構築し、Precision Medicineに活用可能な手法開発を提案する」ことである。また、機械学習から予後不良や薬剤効果不良な群を抽出し、専門的な知識を再度マッピングさせることで新たな治療標的を創出できる可能性がある。 本研究では当該年度(令和3年度)に、2施設の間質性肺炎専門病院より1175例の間質性肺炎症例を抽出し、急性増悪・予後に影響を受けうる全ての時系列臨床情報を診療録より収集した。更に患者ごとに居住区付近の環境汚染物質及び気候情報の時系列情報を収集した。収集した情報は、医療知識の適切なマッピング及び前処理を含め、機械学習・深層学習に適したデータへ変換を行った。変換した時系列データを用いて急性増悪発症及び予後を予測するrecurrent neural networkを主体とした深層学習モデルを作成し、症例毎に急性増悪発症・予後のcumulative incidence functionの推移を可視できるモデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、当該年度(令和3年度)に多施設の間質性肺炎専門病院からの臨床・画像情報の収集及び深層学習と機械学習を組み合わせた間質性肺炎急性増悪発症及び予後予測AIの構築を課題としてきた。 当該年度では2施設の間質性肺炎専門病院から情報収集を行った。画像情報の収集は行えていないが、臨床及び環境因子の時系列情報は必要症例数の収集を達成できた。このデータを用いて急性増悪発症及び予後を予測する深層学習モデルを構築した。当初の計画通りおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の解析によって、多施設の間質性肺炎専門病院で診断を得た間質性肺炎患者の時系列臨床情報及び環境情報から急性増悪発症及び予後を予測する深層学習モデルを構築した。 令和4年度は、より高精度の急性増悪発症・予後予測AIアルゴリズムの構築を目標とする。画像情報は現在の深層学習モデルに適したデータへの変換するAIアルゴリズム構築が困難であったため、現在の臨床情報・環境情報を基により精度向上を目標とする。より高精度のAIアルゴリズムを構築するためには高度な医療情報のマッピング及び前処置が必要であり、処理を行うためのワークステーションの購入を予定する。また、急性増悪発症及び予後に対する各特徴量の重要度を可視化する説明可能なAIの構築を行い、患者ごとに適切な医療の提案を可能とするAIアルゴリズムへの拡張を行う。このアルゴリズム構築に想定以上に時間を要すると考えており、研究計画時点で令和4年度の研究計画に掲げていた「日常の外来診療において患者管理や治療方針決定に支援可能なスマートフォンアプリケーションの開発」は変更し、アルゴリズム構築を主体に行っていく。
本研究で得られた成果は、令和4年度には国内外へ積極的に発表するとともに英文雑誌への投稿を予定している。
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