研究課題/領域番号 |
21K20884
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
轟 泰幸 産業医科大学, 医学部, 助教 (40746814)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 解糖系 / IL-6産生 / 新規病原性B細胞 / 治療層別化 / T-bet+CD11c+ B細胞 / 活動性腎炎 / 全身性エリテマトーデス / 細胞内代謝 / 免疫細胞内代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)においてB細胞は重要な役割を担う。近年、T-bet+CD11c+B細胞はSLEの病態形成に重要な細胞集団として注目されつつあるが、その分化機構および機能の詳細は不詳である。本研究では、①基礎実験において、特に免疫細胞分化に影響をもたらす細胞内代謝に着目しT-bet+CD11c+B細胞の分化機構・機能を解明し、さらに②患者さん毎の特性(末梢血リンパ球に占める同細胞の割合)を事前に把握しその特性に沿った適切かつ戦略的な薬剤選択(precision medicine)に繋げる事を目的としている。
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研究成果の概要 |
In vitroの検討にてT-bet陽性B細胞はnaive B 細胞を由来としBCR+sCD40L+IL21+CpG+IFN-γ刺激により高率に誘導され高度のIL-6産生を伴った。その分化過程では, 解糖系優位の代謝偏向を呈した。対照的に, 形質芽細胞への分化はOXPHOS優位の代謝偏向を呈した。同細胞の増殖能およびIL-6産生は解糖系阻害薬により抑制された。一方, OXPHOS阻害薬では限局的であった。 SLE患者検体ではT-bet陽性B細胞(%)が活動性腎炎、治療抵抗性と関連し血清IL-6濃度と正相関した。また同細胞では解糖系酵素GLUT1/3, HK2, GAPDH発現が亢進していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はSLEの病態形成において重要な役割を果たすT-bet+CD11c+B細胞の分化機構や機能を細胞内代謝の観点から検討を行った。解糖系阻害が難治性SLEの新たな治療標的となる可能性とともに症例毎にT-bet+CD11c+B細胞の割合を事前に把握することで、多くの合併症を誘発しうる副腎皮質ステロイド剤とは異なる作用機序の効率的かつ有害事象の少ない治療法を提供するというprecision medicineの実践にも応用可能である事が示唆された。その実現により、SLE患者の労働生産性の改善、療養・就労両立支援への貢献が可能となる点で社会的意義が高いと考える。
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