研究課題/領域番号 |
21K20902
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 周伍 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (60908185)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵β細胞 / iPS細胞 / 脂肪酸代謝 / 糖尿病 / リピドーム |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病に対する有望な新規治療法に、失われた膵β細胞そのものを補充する細胞治療がある。その確立には、β細胞発生学の知見が手掛かりとなる。私は、胎生後期マウスβ細胞のシングルセル・トランスクリプトーム解析によって、生まれたばかりの膵β細胞が、脂肪酸代謝関連遺伝子を高発現していることを見出した。本申請研究では、膵β細胞の成熟に伴う細胞内エネルギー代謝の変化を、特に脂肪酸に着目して解明し、基盤的知見を得る。また、病態学的に、妊娠時の高脂肪食が、子の膵β細胞発生に与える影響を検討する。さらに、明らかとなった代謝物変化に介入することにより、膵β細胞分化誘導法の効率化を目指す。
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研究成果の概要 |
糖尿病に対する再生医療が注目されている。本研究では、膵β細胞の分化・成熟過程における細胞内代謝変化を脂質代謝に着目して解明し、その介入によってヒトiPS細胞由来β細胞分化誘導の効率化を目指した。胎生後期マウスβ細胞のscRNA-seq解析により、β細胞分化早期においては解糖系酵素遺伝子の発現は大きく変化しないが、脂肪合成(DNL)系酵素遺伝子の発現量は増加していた。ヒトiPS細胞由来β細胞においても分化に伴い、同様にDNL関連遺伝子の発現増加、細胞脂肪滴増加を認めた。さらにPPARα作用の阻害によりインスリン遺伝子およびDNL関連遺伝子の発現上昇を認め、β細胞分化誘導促進が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
糖尿病の根治を目指した代替β細胞による細胞治療のためには、ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞からβ細胞や膵島を効率よく分化誘導させる必要がある。現状、最新の方法を用いても約半数の細胞しかβ細胞に分化せず、インスリン分泌能も本来のβ細胞と比べ未熟である。この解決にはβ細胞発生・分化の詳細な解析が必要である。本研究では、β細胞分化・成熟における脂質代謝・合成の重要性を高解像度のシングルセル解析およびヒトiPS細胞モデルを用いて調べうる限り初めて明らかにした。さらにPPARαを介した脂質代謝経路の修飾によりiPS細胞由来β細胞分化誘導効率の改善が示唆され、今後の臨床応用が期待される。
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