研究課題/領域番号 |
21K20956
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土井 浩義 九州大学, 大学病院, 助教 (60906337)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ニューロン新生 / 神経幹細胞 / 記憶・学習障害 / ミダゾラム / 麻酔薬曝露 / GABA / クロマチン / 自発的運動 / 麻酔薬 / 学習・記憶 / 増殖抑制 / 認知機能低下 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含めたこれまでの研究結果より、幼少期の麻酔薬暴露と成体期以降の認知機能低下の関連性が指摘されているが、その関連性や詳細な分子メカニズムは依然として不明とされている。本研究では、麻酔薬ミダゾラムを用いて、幼若期暴露と成体期以降の認知機能低下の分子メカニズム解明を試みる。また上記のメカニズム解明と並行して、社会的関心事である幼若期麻酔薬暴露により低下した認知機能改善法についても検討を行う。本研究では、ニューロン新生促進因子として知られている自発的運動をミダゾラム暴露後に行わせることで、幼若期暴露による認知機能低下を軽減もしくは改善できるのはないかと考えた。
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研究成果の概要 |
幼少期に複数回の麻酔薬曝露を受けると、遅発性の学習・記憶障害を引き起こすことがこれまでに分かっていたが、その理由は十分に解明されていなかった。本研究により、麻酔薬(ミダゾラム)への早期曝露がマウス海馬における神経幹細胞のクロマチンアクセス性および遺伝子発現を継続的に変化させ、成体期に至るまで神経幹細胞を強制的かつ長期的に休止させることが原因であることを発見した。また、麻酔薬誘導性の神経幹細胞の継続な休止により、発達期から成体期にかけて新生されるニューロンが少なくなるために、後天的な学習・記憶障害が引き起こされることが分かった。さらに、自発的運動はその学習・記憶障害を改善しうることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで不明とされてきた麻酔薬誘導性の遅発性の学習・記憶障害のメカニズム解明に成功した数少ない研究成果であり、本研究によりさらに麻酔学領域での研究が発展するものと思われる。また本研究では、自発的運動がマウスにおける麻酔薬誘導性の認知機能低下を改善することを見出しており、これはヒトにおいても有効な治療法となりうる可能性があり、将来的な臨床への応用が期待できる。
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