研究課題
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神経障害性疼痛の一つである、複合性局所疼痛症候群(CRPS)は難治性であり、生活の質の低下を招き、その治療は整形外科医にとって重要な取り組むべき問題である。また、CRPSでは難治性疼痛以外にも骨萎縮や局所の骨量減少を呈することが報告されており、そのメカニズムに関しては未だ不明な点が多い。近年、CRPSの痛覚過敏や骨量減少にTRPV1が関与することが報告されている。本研究では、TRPV1 ノックアウトマウスを用いてCRPS類似モデルを作成し、その疼痛を引き起こす病態や骨代謝動態を解明することを目標とし、CRPSの効果的治療薬の開発に繋げることを目的とする。
複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome: CRPS) モデルマウスを用いて、CRPSによる痛覚過敏および骨量減少に対して、TRPV1およびTRPV4がどのように関与するのか検討した。その結果、野生型マウスおよびTRPV1ノックアウトマウスにおいて、CRPSモデルの患側の大腿骨骨量、骨梁数および骨梁幅は対照群と比較し有意に低下し、骨梁間隙は有意に増加したが、TRPV4ノックアウトマウスにおいては有意な変化を認めなかった。CRPSによる骨量減少に対して、TRPV4が治療ターゲットとなる可能性が示唆された。
CRPSの痛覚過敏および骨量減少の病的状態下において、TRPV1およびTRPV4がどのように関与しているのかについては不明な点が多い。本研究課題では、TRPV1ノックアウトマウスおよびTR PV4ノックアウトマウスを用いてCRPSモデルマウスを作成し、TRPV4ノックアウトマウスにおいて、CRPSに伴う骨量減少を認めなかった。今後TRPV4がCRPSの骨量減少に対する治療選択肢の一つとなる可能性があり、これらの知見に社会的意義があると考える。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件)
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