研究課題/領域番号 |
21K20983
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土田 陸平 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30907796)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | オートタキシン / 遺伝子多型 / 神経障害性疼痛 / ENPP2 / リゾホスファチジン酸 / ENNP2 / 炎症性疼痛 / リゾホスファチジン酸受容体 / 化学療法誘発性末梢神経障害 / 一塩基多型 / Precision Medicine / 精密医療 |
研究開始時の研究の概要 |
網羅的ゲノム(DNA)情報と疾患コントロール(治療薬の選択)を結びつけ、病態解明と個々にあった治療の最適化を図るPrecision Medicine(精密医療)は、特にがん領域で発展している。本研究では疼痛医学におけるがん関連疼痛に対して精密医療の実現に向けた臨床研究を行う。神経障害性疼痛の発症や重症度規定因子のリゾホスファチジン酸受容体(LPAR)のうち、我々はがん化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の患者で、LPAR1が密接に関連することを示した。LPARの下流にあるGタンパク質の遺伝子多型との関連を調べ、CIPNの病態解明やハイリスク群の同定をする精密医療の実現に向けた取り組みである。
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研究成果の概要 |
リゾホスファチジン酸を産生する酵素であるオートタキシン(ATX)はENPP2遺伝子にコードされる。顎顔面手術を受けた患者とがん性疼痛患者を対象に、疼痛強度(VAS)、オピオイド必要量とENPP2のSNPsとの関連性を検討した。その結果、2つのSNPs(rs7832704とrs2249015)でminor alleleを持つ患者と、VASを改善するのに要したオピオイド投与量が有意に関連していた。以上からENPP2遺伝子多型のminor alleleを持つ患者では、他の遺伝子多型の患者と比較して疼痛の重症化およびオピオイド必要量との関連を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
疼痛は原因によって侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分けられるが、これらに対してそれぞれ鎮痛薬が存在する。ただし、個々によって異なる疼痛の程度や鎮痛薬による鎮痛効果の個人差について考慮されることはない。こうした個人差を生む要因として遺伝子多型が指摘される。基礎研究から疼痛の重症化の原因としてリゾホスファチジン酸の産生酵素であるオートタキシンが指摘された。今回我々の研究によってオートタキシンの遺伝子多型と疼痛の重症化や鎮痛薬の必要量が関連していることを示した。これらの結果からあらかじめ疼痛が重症化する患者を予測できる可能性があり、創薬の標的として新たな候補になる可能性がある。
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