研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、髄芽腫におけるポリアデニル化部位異常を明らかにするため①ヒト髄芽腫検体に対し 3'-seqを用いた異常ポリアデニル化の解析、②髄芽腫細胞株を用いたU1 snRNA変異の導入によるポリアデニル化の変化の解析、③網羅的ポリアデニル化解析とRNA-seqによる発現解析の統合解析を行いU1 snRNA変異による髄芽腫発生機構の理解を深める。
本研究ではU1 snRNA変異型髄芽腫における、ポリアデニル化異常の探索とその病態への関与を解明することを目的として行った。SHH型髄芽腫細胞株に変異型U1 snRNAを含んだウイルスベクターを感染させることで、変異型U1 snRNAを発現する細胞株を樹立した。合計173症例の髄芽腫検体の提供を受け、分子分類を完了した。ポリアデニル化領域を解析するため3′-seq 手法である3′ READS+原法に改良を加えることで、安定したポリアデニル化領域の解析が可能となった。シークエンスの結果、ポリアデニル化領域の定量とポリアデニル化起始部の同定が可能であった。今後、本手法を用いて解明を進めていく。
U1 snRNA変異型髄芽腫は極めて予後の悪い原発性悪性脳腫瘍である。U1 snRNA変異により髄芽腫細胞ないで広範なスプライシング異常が生じていることが明らかになったがその病態の解明は不十分である。近年、U1 snRNAが異常ポリアデニル化の抑制を行っていることが明らかとなり、U1 snRNA変異型髄芽腫においてもポリアデニル化の異常が生じていることが推測される。一般的なRNAシークエンスではポリアデニル化領域の解析は極めて困難である。本研究により、ポリアデニル化領域の解析が可能となったため、今後髄芽腫の病態解明に繋がっていくと考えられる。
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Cancer Science
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10.1111/cas.15691
Nature
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