研究課題
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骨細胞は骨構成細胞の大部分を占め、骨小腔から骨細管に樹状突起を伸ばし骨内にネットワークを形成しており、様々な物質の輸送を介して骨芽細胞や破骨細胞に司令をだして、骨髄ニッチの制御に中心的な役割を担うことが知られる。しかし、多発性骨髄腫の骨髄において骨細胞が骨髄腫ニッチ形成や骨髄腫の腫瘍進展にどのように関与しているかは不明な点が未だ多い。本研究では、骨髄腫細胞の進展を制御する骨細胞の役割とメカニズムについて解明し治療法開発の基盤とする。
骨に発症するがんの進行は骨髄の微小環境(ニッチ)と密接に関連する。骨細胞は骨を構成する細胞の大部分を占め、骨髄ニッチの制御に中心的な役割を担う。骨破壊病変を形成する多発性骨髄腫では腫瘍の進展に伴い骨細胞のアポトーシスが観察されるが、その病態的意義については不明な点が多い。本研究は、骨細胞を生体内で特異的にアポトーシスを誘導することができる独自のマウス骨髄腫細胞株同種移植モデルを開発し、骨細胞のアポトーシスによって骨髄腫の増殖や転移が促進することを証明した。将来的に骨細胞のアポトーシスを防ぐことで骨への骨髄腫や他のがんの転移・進展を阻止し、予防する新規治療法を確立する基盤となるものと期待される。
本研究は、骨細胞のアポトーシスを防ぐことで骨への骨髄腫や他のがんの骨転移・進展を阻止し、予防する新規治療法を確立する可能性を示すものである。また、本研究で確立したVk12598骨髄腫細胞株は正常免疫を有する同種移植が可能であり、Dmp1-HBEGFマウスと組み合わせることで、経時的にその進行や進展部位をモニターすることができ、骨細胞のがん病態での役割やがん免疫に対する役割を解析できる独自性の高い動物モデルであった。骨細胞のアポトーシスによって誘導される候補分子を抽出したため、今後骨細胞特異的遺伝子改変マウスを用いた更なる詳細なメカニズムの解明や新規治療法の開発につなげる予定である。
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Antioxidants
巻: 12 号: 1 ページ: 133-133
10.3390/antiox12010133
Haematologica
巻: 107 号: 3 ページ: 744-749
10.3324/haematol.2021.278295