研究課題/領域番号 |
21K21038
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 恵理子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (00755069)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 歯周病 / 歯肉上皮 / 歯学 / 歯肉上皮細胞 / 上皮バリア / 歯肉上皮バリア / 細胞間接着 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病は、「歯周組織の抵抗性」と「バイオフィルムの 病原性」の均衡が崩壊することにより発症する。本研究では、「歯周組織の抵抗性」に焦点を絞り、歯周病発症の分子基盤に迫る。「歯周組織の抵抗性」を探索するモデルとして、若年齢で歯周病を発症する遺伝性疾患であるKindler 症候群とその責任遺伝子FERMT1に着目した。FERMT1をノックダウンした歯肉上皮細胞を既に作製し、 細胞形態およびクラスター形成に顕著な変化を認めることを見出している。このFERMT1遺伝子改変歯肉上皮細胞を用い、感染防御の最前線である上皮バリア崩壊の側面から歯周病病因論の一端を明らかとすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、早期に歯周炎を発症するKindler 症候群の責任遺伝子であるFERMT1に着目し、歯周組織におけるFERMT1の生体的役割を検討することにより、上皮バリアの分子基盤の一端を明らかにすることを目指した。免疫組織化学により、FERMT1はヒト歯肉上皮に発現していたため、FERMT1ノックダウン歯肉上皮細胞を作製し、その形態学的解析を行ったところ、FERMT1が歯肉上皮構造を維持するために重要な役割を果たしていることを見出した。さらに、分子生物学的検討を行ったところ、FERMT1は歯肉上皮構造維持に必須の接着因子と関連して歯肉上皮バリアの恒常性の維持に関与していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯周病の発症は、感染から歯周組織を守る上皮バリアが決壊し、上皮細胞の脱落により歯周ポケット内に潰瘍が形成されることにより始まる。歯周病の発症および進行に、宿主因子である上皮バリアの破綻が大きく関与しているものの、上皮バリアの恒常性を担う分子については未だ不明な点が多い。感染因子だけでなく、宿主因子の観点から歯周病の発症機構を捉えていくことは、歯周病発症メカニズムの統合的理解を前進させ、究極的には、防戦一方だった対処療法の歯周病治療を、歯周病の発症前に宿主因子に働きかけていくことのできる強力な治療法へと繋げていく礎となる可能性があると考えられる。
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