研究課題/領域番号 |
21K21048
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
蓑輪 映里佳 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (40751160)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | Ca2+イメージング / ライブセルイメージング / 薬物性歯肉増殖症 / 炎症 / フェニトイン / カルシウム / イメージング / 炎症性サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、培養条件におけるCa2+イメージング法やタンパク質リン酸化解析により、生理活性物質等によるCa2+シグナルとMAPK系への作用、およびそれらに対するフェニトイン(PHT)の作用を明らかにする。また、次世代シークエンサーを使用した網羅的遺伝子発現解析によって、上記の生理活性物質やPHTとの相互作用により変化する新しい薬物性歯肉増殖症(DIGO)関連遺伝子を同定する。さらに健常歯肉、DIGO歯肉から採取した歯肉線維芽細胞を使用し、それらの遺伝子発現や薬物への反応性とDIGOとの関連性を明らかにする。同様の方法で、サイクロスポリンAやCa2+拮抗薬とDIGOの関係を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
抗てんかん薬フェニトインによる歯肉増殖症は、服用者の約50%に発症するが、その詳細は明らかではない。 網羅的遺伝子解析によってPHTによるHGFの遺伝子発現の変化を比較した結果、複数のコラーゲンの発現上昇とコラーゲン分解に関与する酵素の発現低下がみられた。また、細胞増殖に関与する複数の遺伝子の発現は減少した。PHTによる歯肉増殖症は歯肉線維芽細胞の増殖によるものではなく、コラーゲンの生合成のバランスが崩れることで発症する可能性が示唆された。さらに、炎症性サイトカインやプロスタグランジンの発現が上昇した結果から、PHTによる歯肉増殖が口腔内の炎症と関連し、病態の増悪に繋がることが考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過去の研究では、薬物性歯肉増殖症の臨床的所見に基づいて細胞増殖やコラーゲン代謝に関わる遺伝子が解析の対象であった。本研究では、次世代シークエンサーによる解析によって新しい関連遺伝子が明らかになった。これは薬物性歯肉増殖の発症や増悪のメカニズム解明のために新たな展望が期待できる。 今までの報告はフェニトイン単独の作用と歯肉増殖の発症を調査しているのに対し、歯肉増殖発症にはフェニトインと炎症性生理活性物質との相互作用が関与するという新たな発想に基づいているのが本研究の特徴である。口腔内の炎症と薬物性歯肉増殖のメカニズムを解明することで薬物性歯肉増殖症増悪の予防に繋がると考えている。
|