研究課題/領域番号 |
21K21061
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西川 有彩 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任研究員 (70910181)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Heat-shock Proteins / コラーゲン / 歯根膜 / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
歯根膜は、弾性結合組織として歯を支持するのみならず、歯周組織の修復・治癒、再生の場としての重要な役割を担っている。歯根膜の恒常性維持には、コラーゲンなどの ECM タンパクが正しい立体構造のタンパクとして産生、調節制御されることが重要である。本課題では、老化やメカニカルストレス、細菌種などの様々な環境ストレスが歯根膜細胞の HSPs の機能発現に及ぼす影響を明らかにすると共に、HSPs の機能低下により細胞内に凝集・蓄積した変性コラーゲンが同細胞の機能に及ぼす影響を小胞体ストレス応答に焦点をあて検討し、高齢者の歯周病に特徴的な病態生理の解明と新規の予防・治療法の開発に繋げることを目指す。
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研究成果の概要 |
本課題では、老化が歯周組織の病態生理に及ぼす影響を検討するために、歯根膜のECMタンパク産生制御におけるHeat-Shock Proteins(HSPs)の役割に焦点をあて解析した。老化ヒト歯根膜細胞ではコラーゲン特異的なHSP47の発現が低下し、三次元構造が変性したコラーゲンの生成の増加が明らかとなった。老化ヒト歯根膜細胞においては、変性コラーゲンの小胞体からゴルジへの細胞内輸送が障害されており、成熟コラーゲンの分泌が低下し小胞体ストレスが誘導されていた。さらにシャペロン活性化薬剤によりHSP47を含むHSPsの活性化が可能であり、老化ヒト歯根膜細胞のコラーゲン産生が回復することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
加齢が歯周組織の病態生理に及ぼす影響は、細胞、分子レベルで十分に明らかとなっていない。本研究成果により、老化歯根膜のコラーゲン異常の原因の一端として、細胞内HSP47の減少による変性コラーゲンの生成、集積が明らかとなった。そして、変性コラーゲンによってもたらされる細胞内輸送の障害が成熟コラーゲンの分泌を抑制し小胞体ストレスを誘導することが示唆された。本研究成果は、HSP47がヒト歯根膜細胞の成熟コラーゲン産生に重要な役割を果たすことを明らかにするとともに、高齢者の脆弱な歯周組織の賦活化において、老化歯根膜細胞とHSP47が有用な治療標的となることを示唆する重要な知見と考える。
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