真菌二次代謝産物Terreinの薬剤関連性顎骨壊死病態に及ぼす影響の免疫学的検討

• 研究課題/領域番号: 21K21087
• 研究種目: 研究活動スタート支援
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 0907:口腔科学およびその関連分野
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 坂井田 京佑 岡山大学, 大学病院, 医員 (20907927)
• 研究期間 (年度): 2021-08-30 – 2023-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2022年度)
• 配分額: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円); 2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円); 2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
• キーワード: 真菌二次代謝産物Terrein / MRONJ / 骨粗鬆症

研究開始時の研究の概要

現在，骨粗鬆症の治療として，破骨細胞を標的としたビスフォスフォネート（BP）製剤や抗RANKL抗体薬が用いられており，抜歯に伴う薬剤関連性顎骨壊死（MRONJ）の発症が懸念される。近年，高齢者の残存歯が増加し，歯科診療におけるMRONJ発症リスクが高まっている。
申請者は，真菌二次代謝産物Terreinに着目し，既存薬とは異なる機序でマウス骨粗鬆症モデルにおける破骨細胞分化抑制による骨破壊抑制効果を見出した。本知見から，Terreinを新規骨粗鬆症治療薬として応用できる可能性がある。本研究では，マウス骨粗鬆症モデルを用いて，抜歯介入に伴うMRONJ発症病態にTerreinが及ぼす影響を検証する。

研究成果の概要

我が国における骨粗鬆症患者が年々増加している。治療薬の大きな副作用として顎骨壊死（MRONJ）の発症があり，その対応が歯科臨床現場では大きな問題である。本研究では，既存薬とは異なる機序で破骨細胞の分化誘導を制御しうる真菌二次代謝産物TerreinがMRONJ発症病態に及ぼす影響を検証した。
骨粗鬆症を誘導開始と同時に各種試験薬を投与し，4週目に抜歯後，さらに4週間試験薬の投与を継続して，8週目に抜歯部の炎症状態をライブイメージングで評価した。その後上顎骨等を摘出し，硬組織の状態をマイクロCTによって評価した。解析後のサンプルを用いて組織切片を作成し，破骨細胞の分化状態をTRAP染色にて評価した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

我が国において，骨粗鬆症患者は年々増加している。骨粗鬆症の進行に伴い大腿骨近位部骨折や椎体骨折などが生じると，日常生活能力（ADL）が低下する大きな要因となる。骨粗鬆症の進行を抑制するために，BP製剤や抗RANKL抗体薬等の投与が推奨されているが，副作用として顎骨壊死（MRONJ）の発症があり，その対応が歯科臨床現場では大きな問題となっている。既存薬とは異なる機序で破骨細胞の分化誘導を制御しうる真菌二次代謝産物Terreinは，骨粗鬆症のみならずMRONJ発症を抑制する可能性がある。本研究成果により，今後の骨粗鬆症治療に新たな選択肢を提供できる可能性があり，学術的・社会的意義は高いと考える。

研究成果

• [雑誌論文] The fungal metabolite (+)-terrein abrogates ovariectomy-induced bone loss and receptor activator of nuclear factor-κB ligand-induced osteoclastogenesis by suppressing protein kinase-C α/βII phosphorylation. (2021)
  • 著者名/発表者名: Kyosuke Sakaida, Kazuhiro Omori, Masaaki Nakayama, Hiroki Mandai, Saki Nakagawa, Hidefumi Sako, Chiaki Kamei, Satoshi Yamamoto, Hiroya Kobayashi, Satoki Ishii, Mitsuaki Ono, Soichiro Ibaragi, Keisuke Yamashiro, Tadashi Yamamoto, Seiji Suga and Shogo Takashiba
  • 雑誌名: Frontiers in Pharmacology 巻: 12 ページ: 674366-674366
  • DOI: 10.3389/fphar.2021.674366
  • 査読あり / オープンアクセス