研究課題/領域番号 |
21K21110
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
清原 麻衣子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50907988)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳卒中 / 慢性疾患保有 / 発症時対処行動 / 療養指導 / 啓発 / 機能予後 / 急性期予後 / 対処行動 / 生活習慣病 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中発症時には早期受診が求められる。しかし、脳卒中高リスク者である慢性疾患患者へは、脳卒中発症予防のために疾病・症状管理に関する指導が行われているが、脳卒中発症時の対処行動の教育については不十分である可能性がある。また、脳卒中発症-来院時間短縮の根拠はいずれも医療機関基盤の短期・中期予後に基づく評価であり、長期予後を検討した報告や発症登録に基づいた報告は殆どない。 本申請課題では、①脳卒中発症-来院時間と超急性期、中‐長期予後との関連を県下悉皆脳卒中発症登録データにより脳卒中病型および重症度別に検討し、②脳卒中発症高リスク集団である慢性疾患保有者の脳卒中発症時の対処行動の特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本申請課題は、慢性疾患保有者の脳卒中発症時の対処行動に着目した調査である。脳卒中が疑われる患者に対しては、発症時に可及的速やかに救急車を要請し、脳卒中治療が可能な施設に受診することが推奨されている。しかし、脳卒中発症者の受診遅延の割合は未だ多いとされている。本研究は、慢性疾患保有者の脳卒中発症時の対処行動の特徴について検討をおこなうものである。今までの取り組みとして、脳梗塞症例を対象に発症時の重症度など関連要因での傾向スコアマッチングにより来院時の救急車利用の有無とrt-PA療法施行との関係を検討し、救急車来院では独歩来院の約5-6倍のrt-PA療法施行割合であることを明らかにした。当該年度はデータベースの拡大により、県内における脳卒中悉皆登録調査の2011年から2015年までのデータベースの構築を行い、解析に着手した。本研究対象者(14620名)では、高血圧・糖尿病・脂質異常症の保有者は、脳卒中発症時に救急車を利用するという実態は示されず、心房細動保有者でのみ、救急車を要請する傾向をみとめている。また、脳卒中発症後の受診遅延の一因とされている、専門医療機関受診前のかかりつけ医受診について、高血圧・糖尿病保有者で、近医やかかりつけ医を受診する割合が高いことが明らかとなった。慢性疾患保有者、特に高血圧や糖尿病、脂質異常症をもつ人々に対して、当該疾患管理に関する教育に加えて、脳卒中発症時の適切な対応、つまり直ちに救急車を要請して、専門医療機関へ受診するよう指導することの必要性が示された。本結果に今後受診遅延の要因についての追加解析が必要であると考える。また、受診行動の違いが予後に及ぼすかについての検討を今後行い、一連の結果を論文として公表することで、成果還元を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初期年度はCOVID-19感染の影響により、データベース拡大やデータ解析に遅れが生じていたが、令和5年度は予定通りデータベース拡大および主解析の結果の確認まで進めることができた。令和5年までの取り組みとして、脳梗塞症例を対象に発症時の重症度など関連要因での傾向スコアマッチングにより来院時の救急車利用の有無とrt-PA療法施行との関係を検討し、救急車来院では独歩来院の約5-6倍のrt-PA療法施行割合であること、心房細動を除く慢性疾患(高血圧・糖尿病・脂質異常症)加療は救急車搬送割合を上昇させないことが示された。現状は、受診行動の相違による、急性期治療施行との関連について報告したのみであり、今後は受診行動の相違による予後解析につなげる予定である。今まで得られた研究成果については、国内学会および国際学会にて成果報告をおこない、同分野の研究者と意見を交換する機会を得た。これらの機会で得た新たな知見から、脳卒中発症時の受診遅延に関する追加解析を現在行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
データの拡大にて得られた主解析の結果についてはより詳細な下位解析を進める。今年度は、受診行動の相違による予後解析を主として取り組む。今年度内に、主解析結果および、詳細な下位解析から得られた研究成果に関して国際学会報告や論文公表による成果報告を進めていく。また成果の社会還元として、脳卒中発症時対処に関する教育的講演等の機会が得られれば、積極的に成果を周知していく所存である。
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