研究課題/領域番号 |
21K21124
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岡野 雅春 日本大学, 歯学部, 助教 (70906544)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マウス母子分離実験 / DNAメチル化 / MS-HRM法 / 児童虐待 / 児童虐待(ネグレクト)モデル / メチル化特異的高解像度融解解析(MS-HRM)法 / 児童虐待モデルマウス / DNAメチル化解析 / リアルタイムPCR / リアルタイムメチル化特異的PCR法 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦における児童虐待は、通告件数が1年間に10万件を超えており、見逃すことのできない社会問題となっている。また、自殺で亡くなった人や被害を訴えられない幼児を含めると、 膨大な数が潜在すると考えられる。しかし虐待被害の有無は、被虐待者の訴えや身体所見から判断されており、客観的な評価は難しい。近年、ヒトおよびマウスにおいて、幼少期の虐待ストレスによってDNAメチル化状態が変化し、うつ病などの異常の原因となる可能性が報告されている。この報告を発展させ、法医鑑定における児童虐待の新たな評価法とするべく、マウスを用いて虐待ストレスによるメチル化状態の組織特異性および経時変化の解明を試みる。
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研究成果の概要 |
児童虐待被害を示すバイオマーカーとしてDNAメチル化率の応用が期待されている。本研究では,マウスの母子分離処置が,ヒト精神神経疾患関連遺伝子のマウスホモログのメチル化率に与える影響を明らかにした。子マウスを出生日翌日から2週間,毎日2時間母子分離処置を行い,扁桃体に由来するDNAを用いて,メチル化率を測定した。Myt1lのDf値は,対照群 (-26.7±0.1) と比較して実験群 (-25.3±0.4) で有意に高かった (p < 0.05)。Myt1l遺伝子におけるCpG配列のメチル化は,ヒトの虐待被害とマウスの母子分離ストレスとの間で共通して生じることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
虐待被害の有無は,被虐待者の訴えや身体所見から判断されており,客観的な評価は難しいため,虐待被害の新たな指標が社会的に求められている。また,マウスの母子分離処置は,児童虐待ストレスとメチル化変化との連関を検証するために有用な実験モデルである。Myt1lなどの一部の遺伝子におけるCpG配列のメチル化は,ヒトの虐待被害とマウスの母子分離ストレスとの間で共通することが示唆された。DNAメチル化率の変化に基づいたヒトにおけるネグレクト被害の存否を示す分子生物学的な指標の開発のために,マウスを用いた母子分離実験によるストレスの曝露量とDNAメチル化の変化量との関連性解明へつながる研究成果が得られた。
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