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無料低額診療事業の利用者のレジストリ研究:生活困窮者の健康支援の基盤づくり

研究課題

研究課題/領域番号 21K21127
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0908:社会医学、看護学およびその関連分野
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

西岡 大輔  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (90901041)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード貧困 / 無料低額診療事業 / 医療アクセス / 無低診 / 生活困窮者 / 医療ソーシャルワーク / 社会福祉学 / 社会疫学 / 生活困窮 / 社会福祉 / 生活困窮者の健康支援
研究開始時の研究の概要

経済的に困窮している人ほど健康を害しやすいが、必要な医療機関への受診を控えやすい。無料低額診療事業(無低診)は、医療機関が定める基準を満たした患者の医療費の窓口負担を減免できる社会福祉制度である。生活困窮者は経済的な困難だけでなく、社会からの排除など複数の困難に直面しており、医療費への経済的な支援だけでは健康な生活を十分に保障できない可能性がある。本研究では、日本全国の無低診の実施医療機関を対象に利用者の調査を実施し、無低診の実施状況および利用者の社会背景や健康状態などの実態を明らかにする。さらに、無低診の効果検証と、経済的な支援の妥当性を検証するための利用者データのレジストリを構築する。

研究実績の概要

経済的な困窮は患者の医療アクセスに負の影響を及ぼす。無料低額診療事業(以下、無低診)は社会福祉法第2条第3項などに基づいて、医療機関が独自の基準で低所得者などに無料/低額な料金で診療をする事業である。無低診は経済的に困窮する患者の医療アクセスを改善することが期待されていたが、私たちは無低診の認知のみでは受診控えは解消されない可能性があることを明らかにした(西岡ら, 2023)。受診控えの解消につながる要因についての追加の検討が必要と議論されたため、令和5年度は追加の解析を実施し、無低診の過去の利用経験の有無が経済的な理由による受診控えの経験と関連するかを明らかにすることを目的とした。 令和4年4月から翌年3月までの期間に無低診レジストリ研究に参加することに同意した25の無低診医療機関の332人の無低診の新規相談者を対象とした。 説明変数として無低診の利用歴の有無、共変量として対象者の年齢、性別、収入、世帯人数、国籍、教育歴を用い、過去1年の2回以上の受診控えの有無を目的変数とする多変量ロジスティック回帰解析を行った。293人が解析対象となり、そのうち無低診の過去の利用歴があったのは76人(25.9%)だった。無低診の利用歴がある人では、利用歴がない人に比べて受診控えの経験が少ない傾向にあった(オッズ比0.56、95%信頼区間0.31-1.01)。 経済的に困窮している患者において無低診の利用歴がある場合は受診控えの低減につながりうることが示唆された。今後、困窮者に対して制度の情報発信だけでなく、利用をしやすくする取り組みが求められる。本追加解析結果を踏まえた研究を国際学会で発表予定である。また、国際誌に査読中である。他にも、本研究に関連して、無低診を利用する患者では、緩和ケア受療期間が短くなりやすいことなどを国際誌に発表し、利用者の実態を記述することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

追加解析の必要性が生じたため、国際誌への再投稿が遅くなったため。一方で、追加解析によって、有意義な結果を得ることができ、令和6年度には、この成果を国際学会・国際誌に公表し、研究の完成を目指す。

今後の研究の推進方策

追加解析が完了したため、令和6年度には、国際誌に受理されることを目標に論文の再投稿を進め、研究課題を完結させる。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (25件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Survival time disparities after palliative care use among low-income patients on social welfare programs: A retrospective cohort study.2024

    • 著者名/発表者名
      Nishioka D, Kanzaki I, Kihara A.
    • 雑誌名

      Palliat Med Rep

      巻: 5 ページ: 187-193

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 社会保障給付と負担のタイムラグがもたらす生活困窮─コロナ禍の無料低額診療事業相談事例より─2024

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔, 福丸歩, 窪田愛裕美, 大平路子
    • 雑誌名

      医療福祉政策研究

      巻: 7 ページ: 85-94

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 無料低額診療事業実施施設の都道府県間の差に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      西澤寛貴、西岡大輔
    • 雑誌名

      社会医学研究

      巻: -

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 無料低額診療事業(無低診)の可能性と課題:無低診研究フォーラムの開催報告2023

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔,西澤寛貴,辻榮孝枝,山﨑理恵,吉田知代,澤村謙太,大平路子,吉永純
    • 雑誌名

      保健医療科学

      巻: -

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Changes in health-related quality of life scores among low-income patients on social welfare programs in Japan during the COVID-19 pandemic: a single-center repeated cross-sectional study2022

    • 著者名/発表者名
      Wakata Satoshi、Nishioka Daisuke、Takaki Yukio
    • 雑誌名

      BMC Public Health

      巻: 22 号: 1 ページ: 2147-2147

    • DOI

      10.1186/s12889-022-14597-5

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 無料低額診療事業の利用者の特性とその支援効果 京都無料低額診療事業研究を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 雑誌名

      民医連医療

      巻: 594 ページ: 8-11

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 社会福祉の援助対象者の健康支援を考える(1) 医学モデルと生活モデルによる複眼的な健康支援2022

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 雑誌名

      プライマリ・ケア

      巻: 7(1) ページ: 48-50

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 社会福祉の援助対象者の健康支援を考える(2) プライマリ・ケアにできることは?2022

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 雑誌名

      プライマリ・ケア

      巻: 7(2) ページ: 49-51

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 健康の社会的決定要因に関するプライマリケア研究を促進するSpecial Interest Groupの取り組み2022

    • 著者名/発表者名
      水本潤希, 吉田絵理子, 弓野綾, 西岡大輔.
    • 雑誌名

      日本プライマリ・ケア連合学会雑誌

      巻: -

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] コロナ禍の影響を測る COVID-19の流行による低所得者への健康影響と現状の課題.2021

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 雑誌名

      貧困研究

      巻: 27 ページ: 4-12

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 無料低額診療事業の利用者の追跡研究 京都無料低額診療事業コホートより2021

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 雑誌名

      京都民医連医報

      巻: 1 ページ: 3-5

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 診療現場で出会う生活困窮 医療機関に求められる対応とは2021

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 雑誌名

      月刊保険診療

      巻: 10 ページ: 23-27

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 無料低額診療事業の利用歴と受診控えとの関連2024

    • 著者名/発表者名
      西澤寛貴、西岡大輔
    • 学会等名
      第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 無料低額診療事業の期待と課題 無低診施設のMSWに求めるもの2024

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 学会等名
      京都医療協 ソーシャルワーカー部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 福祉医療の見える化 無料低額診療事業の全国調査より2023

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 学会等名
      全国福祉医療施設大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] タイトル無料低額診療事業の認知と受診控えとの関連~全国無低診レジストリ研究の結果から~2023

    • 著者名/発表者名
      西澤寛貴、西岡大輔
    • 学会等名
      第14回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] がん患者による医療費減免制度の利用と緩和ケア受療状況との関連:生存分析2023

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔、神嵜郁、木原歩美
    • 学会等名
      第14回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 無料低額診療事業利用者の実態~レジストリ研究の中間集計~2022

    • 著者名/発表者名
      西澤寛貴、西岡大輔
    • 学会等名
      日本HPHネットワーク
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] SDH(健康の社会的決定要因) 貧困・生活困窮2021

    • 著者名/発表者名
      西岡大輔
    • 学会等名
      PCR Connect 第3回年次集会 Special Interest Group
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 実践 SDH診療 できることから始める健康の社会的決定要因への取り組み2023

    • 著者名/発表者名
      日本プライマリ・ケア連合学会 監修 / 近藤尚己 編著 / 西村真紀 編著
    • 総ページ数
      282
    • 出版者
      中外医学社
    • ISBN
      9784498120068
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 無料低額診療事業の研究

    • URL

      https://daisuke-nishioka.com/tag/flcmc/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 「無料低額診療事業研究フォーラム 統計データと事例からk名が得る無料低額診療事業の可能性」

    • URL

      https://youtu.be/al7uq5-fTaI

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] *無料低額診療事業研究の説明会動画を公開*

    • URL

      https://daisuke-nishioka.com/

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] *医療ソーシャルワークのエビデンス、一緒に作りませんか?*

    • URL

      https://daisuke-nishioka.com/

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] 西岡大輔.無料低額診療事業(無低診)の利用者のレジストリ研究ー研究説明動画

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=IJqUoNiu_Tk

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-10-22   更新日: 2024-12-25  

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