研究課題/領域番号 |
21K21157
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宍戸 穂 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (50911210)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | スキンケア / 清潔ケア / 浮腫 / 清拭 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
清拭は、入浴やシャワー浴ができない患者の皮膚を温かいタオルで拭き取り、清潔を保つ重要なケアである。一方で、不適切な方法での実施は皮膚状態の悪化を助長するリスクもある。特に、浮腫を有する患者の皮膚は薄く、乾燥していることから痒みや傷が発生しやすく、清拭実施時に配慮が必要である。そうした対象者の皮膚について、機器を用いた方法による評価は困難であり、介入による効果や適切な清拭方法に関するエビデンスは乏しい。 そこで、本研究の目的は、①浮腫を有する高齢入院患者の皮膚状態の評価方法を明らかにし、②皮膚状態を悪化させずに汚れを除去できる清拭プログラムの開発を行うことである。
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研究実績の概要 |
入院患者を対象とした介入研究を想定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、施設への出入りが困難な状況となった。近年、衛生面の観点からディスポーザブルタオルが着目されており、保湿成分が含まれることから、皮膚状態を維持する可能性が示唆されている。その一方で対象者には寒さや不快感を与えてしまう可能性が指摘されている。浮腫を抱える患者のように皮膚が脆弱な対象者には前述したようなタオルでの清拭がのぞましい可能性はあるが、対象者の受け止めも患者中心の医療を提供する上では検討する必要がある。 2022年度は基礎研究として、保湿成分が含まれ、従来のものよりも厚手のディスポーザブルタオルを用いた清拭の効果を検討することを、健康成人を対象として実施した。健康女性を対象に、3種類のタオル素材(厚手のディスポーザブルタオル、薄手ディスポーザブルタオル、綿タオル)の清拭を実施し、皮膚への影響として皮膚表面温度、角質水分量、経表皮水分蒸散量(TEWL)を測定し、心理的影響として質問紙にて主観的評価を測定した。その結果、厚手のディスポーザブルタオルにおいても一時的に気化熱により皮膚温の低下が生じるものの、対象者の主観的評価は綿タオルと差がないことが明らかとなった。また、皮膚バリア機能については、厚手のディスポーザブルタオルに含まれる保湿成分の影響により、皮膚の水分量が上昇する可能性が示唆された。 また、対象者にとって清拭の意味を既存のデータを質的・量的に分析し、今後、皮膚バリア機能に加え、対象者への心理的効果として今後測定すべき尺度について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、入院患者を対象とした介入研究の実施が困難であり、健康成人を対象とした研究を実施したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は浮腫を抱える入院患者を対象とした介入研究や、既に有効性が検証されている温タオルを貼用することを取り入れた方法と組み合わせたディスポーザブルタオル清拭の生理的・心理的効果、保湿剤の塗布を組み合わせた場合の効果を検証する必要がある。 また、検証結果を踏まえ、浮腫を抱える患者への清拭ケア方法をパンフレットなどで臨床現場に伝え、その有用性についても検討する。
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