研究課題
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閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、循環器疾患を合併し生命予後の悪化が明らかになったため、近年広く認知され始めている。しかし、治療が必要なOSAの大半が未診断であることが問題視されているため、OSAの早期発見・早期治療、さらには循環器疾患合併への予防対策が重要課題である。近年、DNAメチル化は疾病発生に重要な役割を果たし、疾患の発症予測、診断、予後予測に有用なマーカーとして注目されている。本研究では、OSAの新規バイオマーカーの探索を目的とし、OSA患者の末梢血を用いて、ゲノム網羅的DNAメチル化解析を実施し、OSAとDNAメチル化との関連について調査する。
OSA患者を対象に無呼吸低呼吸指数(AHI)低値群と高値群における全ゲノムDNAメチル化プロファイルの比較を実施した。その結果、AHI高値群において、MYT1L(cg09460712)やFOXP1(cg18804229)等のDNA高メチル化、RERE(cg16908156)やSEMA4C(cg13275176)等のDNA低メチル化が認められた。またMIR365A遺伝子、JRK遺伝子、CAT遺伝子領域において、両群のDNAメチル化率に差を認めた。OSA患者を対象にしたDNAメチル化関連解析の先行研究の報告はいくつかあるが、本研究にて認められたこれらのDNAメチル化サイトは新規のものであった。
本研究により、OSA患者のいくつかの遺伝子においてDNAメチル化が変化していることが明らかとなった。今後、さらに詳細な解析が必要ではあるが、本研究にて認められたOSAに関連する特定のまたは複数のメチル化サイトの変化を捉えることでOSAの早期発見・発症予測バイオマーカーとなる可能性が期待される。さらに将来的には循環器疾患等の合併症予測バイオマーカーの開発や合併症発生のメカニズム解明に貢献できる礎となることが期待できる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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