研究課題/領域番号 |
21K21188
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター (2022-2023) 三重大学 (2021) |
研究代表者 |
田中 宏和 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究員 (90905431)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 健康格差 / 公的統計データ / データリンケージ / 死亡率 / 社会経済的状況 / 国勢調査 / 人口動態統計 / 国民生活基礎調査 / 人口問題 / 国際比較 / 公衆衛生学 / 主観的健康感 / がん検診 / 社会格差 |
研究開始時の研究の概要 |
学歴や職業など社会経済的要因による健康格差を解消することは公衆衛生学における普遍的な目標である。健康格差は出生率などの人口問題に影響しうるが、現状の公的統計データではこうした課題に十分な記述統計およびエビデンスを提供できていない。本研究はわが国の健康格差と人口問題の解決に向けた公的統計データの活用法を検討し、国際比較を通じてこれらの課題の解決に向けた研究の基盤形成を目的とする。人口動態統計調査、国民生活基礎調査などの調査個票を統計法第33条に基づく利用申請を行い取得して分析する。複数の統計のリンケージの手法検討を中心に公的統計データの活用法を確立し、わが国の健康格差の特徴を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
わが国の健康格差のモニタリング方法を検討するため、国勢調査と人口動態統計のリンケージ研究および国民生活基礎調査の分析を行なった。教育歴別の死亡率の分析の結果、全死因では男女ともに「大学以上卒業者」と比べて、「高校卒業者」は約1.2倍、「中学卒業者」は約1.4倍死亡率が高いことが明らかになった。死因別にみると喫煙に代表されるリスク要因が教育歴などの社会経済状況により異なることで死亡率の差につながっていると考えられたが、欧米に比べるとわが国の健康格差は小さいと示唆された。また、社会経済的状況によりがん検診受診率などの健康関連行動も大きく異なり、この差は経年的に大きくなっていると示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国勢調査と人口動態統計のリンケージ分析により、わが国において「中学・高校卒業者」は「大学以上卒業者」に比べて約1.2-1.4倍死亡率が高いことが男女それぞれで示された。このリンケージ研究では全人口の9.9%をサンプル人口として含めたが、詳細な死因別の分析や都道府県レベルの分析のためにはより精度の高い死亡率データベースの構築が必要である。また、わが国の健康格差は生活習慣や健康関連行動について拡大していることが示唆された。本研究の成果をきっかけに公的統計を活用した健康格差研究が推進されるとともに各地域の健康格差の大きさや要因について探索され、より多面的な健康格差対策が講じられることが期待される。
|