研究課題
研究活動スタート支援
前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia; FTD)は特徴的な人格、行動の障害、言語障害を呈するため、社会的に問題となる症例が存在する。特に高齢者の独居率が高まり、独居が可能な初期FTD患者の自宅がゴミ屋敷となってしまうという問題も顕在化するようになった。本研究では(1) FTDの重症度評価尺度の日本語版を作成し、信頼性、妥当性、反応性を検証し、(2) FTDにおけるため込みの実情とその要因を明らかにし、(3) FTDにおけるため込みへの介入法を検討することを目的とする。本研究の成果から、社会問題となっているごみ屋敷の対応策に関する重要な知見が得られることが期待される。
研究1・2:日本語版CDR plus NACC FTLDを作成して、前頭側頭型認知症(FTD)29名、アルツハイマー型認知症(AD)21名を対象とした評価を行い、良好な信頼性、妥当性、反応性を確認した(Taomoto D, et al. 2023)。研究3:ためこみ症状の評価尺度であるClutter Image Rating(CIR)を実施した。CIRはFTDで平均(SD):1.78(0.99)、ADで1.63(0.86)でいずれもカットオフの4を下回り、2群間で有意差はなかった。この理由として本研究は介護者がいる患者、もしくは入院している患者を対象としたことが考えられた。
日本語版CDR plus NACC FTLDの有用性を確認できたことにより、今後の本邦でのFTDを対象とした観察研究や治験で日本語版CDR plus NACC FTLDを活用することが可能となった。FTDにおけるごみ屋敷では生活環境が影響していることが示唆されたため、今後は独居や同居だが家族が困難を抱えている症例などを組み込んだ研究が重要と考えられた。
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Psychogeriatrics
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